遣米使節団

幕末使節がアメリカに残したもの

 使節のアメリカ訪問は、一時的な珍しさもあって、アメリカ市民を大いに楽しませ、彼らの間に日本に対する非常に好意的な印象を作り出したようです。一行の動向を継続して報じていた新聞(Frank Leslie's Illustrated Newspaper)は、「日本人がアジアの他の民族に比較して、より優れた文化と組織をもっているということが明らかになった」と記し、またHarper's Weekly紙は、「我々は文明人として誇りを持っているも、日本人から多くを学ぶことが出来る」と報じました。更にNew York Herald紙は「日米和親協商 確固とした事実」との見出しを掲げました。
 しかしながら、使節のことは一行の出港と同時にアメリカ社会から完全に忘れ去れてしまいました。当時のアメリカの国内の危機的状況から、使節の訪問はほとんど政治的意義を有していなかったからです。ブキャナン大統領は国内に南北戦争につながる遙かに深刻な問題を抱えており、残されたわずかの在任期間に日米友好関係を更に深める余裕は全くありませんでした。