<< Home  |  English >>

ご案内
緊急情報
パスポート
在留届
届出と証明
在外選挙
税・年金・保険
教育情報
医療情報
New York生活情報
イベント情報
安全対策情報
各州と日本の関係
総領事館案内
日本の政策
ご意見箱
川村泰久首席領事 在ニューヨーク日本国総領事館
東日本大震災から1年を迎えて:日本から米国と世界へのメッセージ
(於:フェアフィールド郡日米協会)
    川村 泰久 首席領事
平成24年3月3日(土曜日)

英文 (English) >>

概要:
東北大震災から1年。日本は124の国地域、9の国際機関から支援を受けた。震災直後はどうすべきか自失の状態だったが、NJ在住の米国人少女が総領事館に持ってきてくれた絵が「We Are With You」に励まされ立ち上がることができた。特に米国からは多大の支援を受け、在日米軍の「トモダチ」作戦では24000人の人員、24の船舶を動員、電源を喪失した福島第一原発の原子炉に入れる水の輸送や、仙台空港の早期開港などに協力を得た。またフェアフィールド郡日米協会も献金や高校生のベークセールでの資金集めなどを行われ心打たれた。
米国の一般の方から日本に寄せられた善意の寄付は、6億ドル以上に及んだと聞いており、これは対先進国では過去最高額、途上国も含めるとハイチとインドネシア(スマトラ)の地震の時に次いで3番目の額であったとのことである。在NY日本総領事館も1月までに約72万ドルを受け取り日本赤十字に送付した。なお日本赤十字などが受けた義捐金は国内海外合わせて、3月1日までに3465億円であった。日本は本当に大きな支援を世界から受けた。
日本国民はこのような世界から多大な支援を受けられたのは、これまで日本が世界の国々に対して一貫して支援をしてきたことに対する評価があるものと感じ取っており、それゆえ震災後は世界に恩返しの意味でも、気持ちを新たに一層途上国や貧しい人々への支援をしていこうと考えるようになっている。その好例は、南スーダン国連PKO活動への日本の自衛隊員派遣である。これら自衛隊員は、ちょうど米軍が仙台空港の再開に向けて努力したように現地で道路建設などに汗を流す。また米軍が撤退した後のアフガニスタンの再建の方向性を議論するため、世界第2位の支援額を表明している日本がリードしてこの夏関係国の閣僚会議を主催する。
震災後1年の日本経済状況を見てみると、高速道路、新幹線などの主要インフラはほぼ全面回復し、復興需要を受けたGDPは本年は2.2%増の見通し、失業率は4.6%で8%以上の欧米諸国よりも低い。震災後30%近く落ち込んでいた自動車サプライチェーンも回復し、米国の自動車生産は震災前の水準を上回る拡大が始まっている。
当面、復興計画推進、福島第一原発の処理及び新エネルギー政策の3点が重要。20兆円を超える被害額に対応した補正予算を成立させ、復興庁を建て、特別区を作って内外の投資を呼び込みたい。日本としては単に回復を目指すのでなく、災害に強く、人口高齢化や環境保護の要請にも対応できる新たな成長モデルを世界に示したい。たとえば宮城県では389の特区を作り再生エネルギーや航空宇宙など8つの将来的な産業を誘致するため5年間法人税を無税化する予定。
福島第一については、12月に冷温停止状態を確認し、ロードマップの第2ステップ、すなわち放出放射能を大幅に抑制できている状態が達成された。東京、パリ、ワシントンの大気の放射能のレベルはほぼ同じか、東京が少し低い程度である。今後は廃炉に向けた中長期ロードマップに入る。そして福島第一は今後30年から40年かけて廃炉を完了させる。
日本政府は、地域住民の生活の安全性を確保するため除染を精力的に進めている。対応人員も増強する予定である。2月10日付ニューヨークタイムズ紙が「どうすべきか誰もわからないのに、確たる見通しもなく予算をばらまき、これで効果的な除染ができるのか全く不明だ」と批判記事を書いたのは極めて遺憾。実は日本は国際的な 協調のもとで処理を進めており、昨年末IAEAは日本が行っている除染について「中央政府から地方自治体までよい除染作業が行われている」と評価する報告書を発表して、日本の除染を基本的に支持している。
エネルギー政策は根本から見直し、今夏を目途に新戦略を策定する予定であり、基本方針として原発依存度を低減させることや再生可能エネルギーの開発利用の加速化を挙げている。現在稼働中の原発は2基となったが、ストレステストの適用に加えて運転再開に向けての地元住民の理解が得られるように努力しているところである。なお昨日、福島市でスマートコミュニテイのあり方についての国際エネルギーセミナーを開催されたのは喜ばしい。
マクロ的な意味で日本のマクロ的経済、インフラ、エネルギーについては着実な回復が見られ不安になる必要はないと思われる。しかし、町、村といった地域、さらにはそこに住む住民の一人一人に目を向けていくことを忘れてはならない。知人から聞いた話であるが、似顔絵が得意なNYの邦人の方が現地に赴き避難所にいる一人ひとりの似顔絵を書いていった。対面時間一人当たりわずか数分であったが、被災された方は「自分と向き合ってくれた方にお会いしたのは震災後初めてで嬉しかった。自分は写真も何もかも全て失った。笑顔の自分を描いていただき感激している。いつか自分が亡くなったらこの絵は祭壇に遺影として飾りたい。」と涙ながらに深々と頭を下げたと聞いた。
被災された人々にとって何が最も励ましになるのか、何が必要かは必ずしもわからないことが多い。防潮堤の工事が行われている時にこのような似顔絵が人々を励ますことができるのである。震災後1年経つが多くのボランテイアが現地に入って活動をしている。「今、まだ日本にしてあげられることがあるか」とよく質問を受ける。答えは「イエス」である。仕事でも、桜を愛でるためでも、もっと日本を訪れていただきたい。そして日本の人たちに会い、励ましの声をかけていただきたい。また日本に行かなくともどうか日本のことを心に留めておいていただきたい。私達日本人は将来を確信しているが、それでも実のところはつい最近涙をふいて立ち上がったばかりであるから。
(c) Consulate-General of Japan in New York | 299 Park Avenue 18th Floor, New York, NY 10171 | Tel: (212)371-8222 | 著作権・リンク・免責事項