17歳の随員であった立石斧次郎(たていし おのじろう)・通詞見習は、江戸時代の末期に「ビール」を愛飲している写真が現存するなど、流行の最先端を行く人物だったようです。ニューヨークで彼は、持ち前の陽気でお茶目な性格から遣米使節団のアイドル「トミー」として米国女性の人気を博しました。行く先々で熱狂的な女性ファンが彼を“追っかけ”たと伝えられています。
このような人気者トミーを讃えて、米国では当時人気の高かったダンス音楽ポルカのリズムで「トミー・ポルカ」が作曲されました。この曲は米国東部で活躍したドイツ人音楽家グローブによる作曲で、その楽譜の冒頭には彼の肖像画とともにトミーに関する次のような描写が記されています。
“奥さんもお手伝いさんも
そのかわいい小柄な男性を取り囲み付きまとう
その名はトミー、ユーモアのあるトミー
日本から来たトミー”
この「トミー・ポルカ」が、遣米使節団訪問地ゆかりの当地ニューヨークで、高原守 ニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル音楽監督及び常任指揮とアンサンブルの仲間達の手で甦りました。その音色をお楽しみください。
Tommy Polka
YouTube: New York Symphonic Ensemble - オーケストラ・バージョン -(6:12)
YouTube: New York Symphonic Ensemble - ハープ・バージョン -(3:37)
動画(「トミーポルカ」の再現)New York Symphonic Ensemble Japan Tour 2010
(遣米使節団の随員 立石斧次郎・トミーに捧げる曲)