天皇・皇后両陛下のご訪米

昭和天皇・皇后両陛下ご訪米

1975年初秋、日米交流史上初めて天皇・皇后両陛下がアメリカをご訪問され、ワシントン、ニューヨークをはじめ、シカゴ、ロスアンジェルス、サンフランシスコ、ホノルル等各地で暖かい歓迎を受けられました。ワシントンでは、フォード大統領主催の歓迎晩餐会が行われました。天皇陛下がそのスピーチの中で、「わたくしは多年、貴国訪問を念願しておりましたが、もしそのことがかなえられたときは、次のことを是非貴国民にお伝えしたいと思っておりました。と申しますのは、わたくしが深く悲しみとするあの不幸な戦争の直後、貴国が我が国の再建のために温かい好意と援助の手を差し伸べられたことに対して、貴国民に直接感謝の言葉を申し述べることでありました」と述べられると、会場からは大きな拍手が巻き起こり、晩餐会は予定の時間を大幅にオーバーして深夜にまで及びました。

昭和天皇陛下、フォード大統領

ニューヨークでは、ご訪問先のニューヨーク植物園で天皇陛下が植物学者として皇后様に植物を手にとってご説明されたり、ロサンゼルスのディズニーランドでは、両陛下の前に飛び出してきた男の子をひざに抱き寄せて縫いぐるみのパレードを楽しまれる一幕もありました。当時のニューヨーク・タイムズ紙は、その社説で「30年前の仇敵、勝者と敗者は今日、政治、経済上のパートナーとなった」と評し、このご訪問を暖かく報じました。