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1.ライム病

ニューヨーク周辺の"風土病"ともいえる疾患です。Borrelia burgdorferi(ボレリア菌)と呼ばれる細菌が原因であり、ダニに刺されることにより感染します。2014年においては、ほぼ米国全土より25,000人余りの患者が報告されていますが、その多くが米国東北部に集中しており、ニューヨーク州(NY州)だけで全体の発生数の約3分の1を占めています。米国東北部では、鹿ダニ(Ixodes scapularis)が媒介します。鹿ダニの活動期は幼虫が5月から7月、成虫が8月から9月であり、幼虫の吸血活動の方が活発なところから、患者の発生時期もこれに一致し、春から夏に多発します。

 症状は、初期の感冒の症状、発疹、循環器症状、関節炎、神経精神症状と多岐に渡り、慢性化が問題ともなっています。

 米国内では、ダニからは、この他バべシア症、エーリヒア症、紅斑熱症、ダニ脳炎等が感染することが知られています。また、ダニ自体からの神経毒によると思われるダニ麻痺も起こっています。ニューヨーク周辺では、ライム病、バベシア症、エーリヒア症は同一のダニより感染します。これらの重複感染を起こすこともまれではなく、この場合、重症化する傾向があります。マンハッタン区で感染したと思われるロッキー紅斑熱も年間数例が確認されています。

2.ウエストナイル脳炎その他蚊媒介感染症

1999年夏、ニューヨーク市(NYC)において西半球で初のウエストナイル脳炎(WNE)が発生し、NYCとその周辺地域にて発症者62名(入院治療59名、死亡7名)を数えました。蚊によってウエストナイルウイルス(WNV)に感染することで起こり、脳炎や髄膜炎の重症な症状をきたすのは感染者の1%以下ですが、高齢者では発症し易くかつ症状が重くなる傾向があります。

 2003年 は全米で9122人の患者発生(内死亡223人)が報告されました。鳥がWNVの保有宿主と考えられており、鳥以外では馬の発症、死亡例が報告されています。

各保健局のウエストナイル脳炎ホームページ

3.狂犬病

 NY州は、全米で最も狂犬病感染動物の報告が多い州です。州全域にて発生しておりニューヨーク市(NYC)からも報告されています。NY州全体では、年間約1万件の動物が狂犬病ウイルス検査に持ち込まれており、この内約千件(一割)がウイルス陽性、つまり狂犬病に感染しています。検査所に持ち込まれる動物の3分の2は野生動物、残り3分の1家畜・ペットですが、ウイルス陽性の殆どは野生動物です。野生動物では、アライグマ、スカンク、コウモリ、狐、ウッドチャックの順に多く、鹿、フェレット、カワウソでも検出されています。巷ではリスが危ないと言われていますが、狂犬病感染リスは殆ど発見されていません。ここ数年コウモリの件数が増加してきています。コウモリ全体からすると、ウイルス保有率は約4%です。家畜・ペットでは、猫、牛、馬より、いずれからも狸由来ウイルスが検出されています。犬からは97年11月以降見つかっていませんでしたが、2000年に1例が報告されました。

 NYCでは、98年1件、99年10件、2000年13件の狂犬病感染動物が確認されています。ブロンクス区からの報告が主ですが、5つの区全で発生しており、動物でもアライグマが半数以上を占め、残りはスカンク、コウモリ、コヨーテです。

 人発症例は、NY州では93年、95年、2000年にそれぞれ1名が発病・死亡しています。前者2例は当地でのコウモリ由来のウイルスの感染です。後者は発病の4ヶ月前に米国外(ガーナ)で子犬に咬まれており、ウイルスもその地方由来であることが確認されています。

 NY州だけで、感染動物との接触等により毎年約25OO件が狂犬病ワクチンの暴露後接種を受けています。なお、1990年以降全米で国内発生の狂犬病は22例が報告されており、内20例はコウモリ由来のウイルスによるものです。

4.後天性免疫不全症候群(エイズ)

NYCでは、エイズの発生者及び死亡者ともそれぞれ1993年と1994年を境に減少してきています。98年のエイズ死亡者は1,932人(HIV関連死1,978人)、総死亡原因の第4位を占めています。年齢別では25才から44才までの死亡原因の第一位で、この年齢では5人に一人がエイズが原因で死亡しています。

1998年にエイズと診断されたのは4,483人(男性3110人、女性1373人)、感染源は男性では麻薬静注(30%)、同性間性行為(25%)、異性間性行為(6%)、女性では麻薬静注(30%)、異性間性行為(30%)の順(その他の原因を除く)です。40例が輸血にて感染しています。HIV感染陽性率は、97年の調査では、麻薬中毒治療施設で約25%、妊婦で0.8%と報告されています。 

5.薬物中毒

 NYCの98年の死亡統計では薬物依存及び中毒死は全死亡原因の第9位、0.6%を占めています。25才から35才まで青年層の死亡原因では、エイズ(25.5%)、自殺(15.6%)に次いで第三位(13.6%)です。この年齢層で死亡する人の8人に一人が薬物依存及び中毒死となります。コカイン以外ではエクスタシー(MDMDアンフェタミン系)が若年層を中心に広く出回っています。薬物使用者の間では、上記のエイズ同様に注射にて感染したと思われるC型肝炎の頻度が高いことも判明しています。

6.腸管出血性大腸菌(EHEC)、その他経口感染症

 1999年9月、NY州で開催されたある農業祭で、千人以上に及ぶEHECの食中毒が起こりました。EHEC感染は散発的に常に発生しており、この菌で汚染された牛挽肉の回収もよく報道されています。ジアルジアやA型肝炎等のその他の経口感染の発生もよく新聞を賑わせています。

7.Poison Ivy による中毒症 

 Poison Ivyはニューヨーク市のあちこちでみかける植物です。写真のように3枚の葉が1組になって枝についています。(写真は参照1から転載)



 この草に触ったり、茎や実を食したり、燃した煙を吸ったりすると、痒み、発赤・腫脹、種々の発疹、呼吸障害等の症状が現れることがあります。発疹は、はじめ手足や顔にうすくブツブツが出来ますが、しだいに広がり、水疱を作ります。普通の家庭用の軟膏などでは治りにくく、水泡がつぶれて瘢痕になることがありますので、はやめに医師を受診することをお勧めします。

 除草する場合は機械を使わず、必ず手で根から抜き取ります。その後、密閉のできるゴミ袋に入れて捨てます。煙も有害ですので、燃やすことがないように気をつけてください。また枯葉でも皮膚炎を起こしますので、手袋をするなど処分には注意が必要です。

 詳しくは以下をご参照ください。


1 NYC
https://www1.nyc.gov/site/doh/health/health-topics/poison-ivy.page

2 The National Institute for Occupational Safety & Health (NIOSH)
www.cdc.gov/niosh/topics/plants

3 National Institutes of Health
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/poisonivyoakandsumac.html

4 American Academy of Dermatology
https://www.aad.org/public/diseases/itchy-skin/poison-ivy-oak-and-sumac

 なお、現在流行中の感染症等についての最新情報、その他種々の疾患については、各保健局のホームページにて最新情報が得られるようになっています。

 

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