テロ対策

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当地では2001年9月11日に発生した同時多発テロ事件以降、2016年9月のニュージャージー州及びニューヨーク州における爆発テロ事件、2017年10月のニューヨーク市内における車両突入テロ事件及び同年12月のニューヨーク市内における爆発テロ事件が発生しています。米国において邦人や我が国権益を直接の対象としてテロの対象となる可能性は概して高くないものとみられますが、大都市や観光地において無差別テロ事件等が発生した場合には、被害に遭う可能性は否定できません。また、近年では単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロによる被害を未然に防ぐことは困難です。必要以にテロに対し敏感になる必要はありませんが、テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、万が一に備えた安全意識を持つこと、また、会社などにおいては組織的な危機管理や安全管理を徹底することが重要です。

爆発事故に遭遇した場合

古い建物の多いニューヨークでは、アスベストによる二次被害が心配されます。水蒸気や瓦磯に接触した可能性のある人は、シャワーを浴び、着ていた服をプラスティック袋に入れ、クリーニングするか破棄してください。

1. 事務所周辺の警備

事務所や駐車場を設置する以前の段階から、次のような点に気をつけましょう。また、できるだけ事務所内外の警備を強化しましょう。

  • テロの対象となるおそれのある施設の付近には事務所等を設置しない。
  • 来訪者を装った不審者に、事務所や車に爆弾を設置されないようにするため、以下の2点に気をつける。
    • 社員用と来訪者用の入り口や駐車場は区別する。
    • 爆弾が仕掛けられた車に事務所を爆破されないよう、来訪者の駐車場は、事務所から離れた場所に設置する。
  • 駐車場入口には監視員を配置し、不審人物の出入りを規制する。
  • 社員・来訪者にIDカードの提示を求める。また、事務所内に爆弾を仕掛けられないよう、防犯カメラを設置したり、監視員の巡回を強化する。
  • 爆弾テロの脅威がある時には、建物周辺の整理整頓に努め、爆弾物の発見を容易にできるようにする。

2. 不審物早期発見のための工夫

爆弾を設置されても早く発見できるよう、次のような工夫をしましょう。

  • 来訪者の手荷物検査を必ず行う。
    金属探知機も使う。
  • 社内外の死角をなくし、整理整頓をすることによって、爆弾の早期発見を心掛ける。
    監視が行き届かない所は見回りをする。
  • 社員全員が不審物(放置荷物、手紙、小包等)に対して普段から注意する。

3. 事前の訓練

  • 予告あるいは爆発物を発見した場合の行動等を定め、社員全員に伝える。
  • 爆破予告電話を受ける可能性のあるすべての社員(特に電話交換手)に対し、聴取項目を記載したメモを事前に配布する等し、予告電話への対応要領を知らせ演習を行う。
  • 速やかに避難できるよう、避難経路と避難先を複数決めて繰り返し訓練を行う。

4. 爆破予告電話への対応

爆破予告電話には単なる嫌がらせ、真の脅迫、予告等様々な動機のものがありますが、どの電話も一応信憑性のあるものとして考えましょう。電話録音機を設置し、通話内容を正確に把握できるよう対策を講じておきましょう。

爆破予告電話を受けた場合は、通話を中断させず、爆発物が仕掛けられた場所や爆発時刻等、出来る限り情報を入手しましょう。犯人との会話の詳細を記録し、警備責任者に遅滞なく連絡するようにしましょう。

5. 自動車爆弾

テロリストは、事務所や自動車に爆弾を仕掛けることが多いので、普段から爆弾対策を講じましょう。

  • 夜間、長時間路上や警備員のいない駐車場に車を放置することは避ける。
    また、事務所や自宅のガレージ周辺に不審者が近づけないよう工夫する。
  • 車に乗り込む際には、タイヤ周辺、車体下部、車内を点検し、異常がないか確認する。
  • 新たなテロの手口として自動車に爆発物を積んで事務所等に突入させる方法も見られる。
    テロ攻撃が発生する危険性のある地域においては、コンクリート製の車止めを準備する。

6. 小包・手紙爆弾等

小包や手紙は、受領時点で、爆発物、放射性物質や生物・化学物質が梱包されていないか気をつけましょう。不審物の疑いがある時は、発送人に問い合わせる等しましょう。不審物と判断された時は、早々に避難し、警察へ連絡しましょう。

不審な小包・手紙が届いたら:

  • 不審な小包・手紙は振ったリ、投げたりせず、慎重に取扱う。
  • 不用意に開封したり、中のにおいを嗅いだりしない。
  • 直ぐに人の出入りのない場所に保管し、警察に連絡する。

表示に注意!
  •  普段予想しない、馴染のないところから送付されている。
  •  郵便局消印の市・州と差出人の住所が合致しない。
  •  差出人の住所が無い、または確認できない。
  •  宛先が手書きである、または幼稚にタイプされている。
  •  宛先の綴りが間違っている。
  •  宛先が誰宛かはっきりしない。
  •  既に職場を去り、相当の期間が経過している人物に宛てられており不自然。
  •  "Personal"や"Confidential" "Do not X-ray"等の記載表示がある。
  •  包みに脅迫・威嚇文言の記載がある。

形状に注意!
  •  包みからワイヤーやアルミホイールがはみ出したり、異臭や付着物がある。
  •  包みの重量に違和感がある、重さに偏りがある、形状が奇妙である。
  •  必要以上に切手が貼られている、紐・テープで過度に梱包されている。

7. 万一、テロが発生した場合

爆発物の取り扱いを誤ると生命にかかわる重大な結果を招くことになります。警備責任者の指示に従い、速やかに避難しましょう。

  • 普段事務所等にない物があれば物品に触ることなく、速やかに容疑物件から遠ざかり、警察等に通報する。
  • 万が一避難経路確保のため、ドアや窓は開けたままにして逃げる。 私物を残してしまった場合でも、危険なので取りに行かない。
  • 身近で爆発事件が発生した場合、すぐその場に伏せる。 第一の爆発をおとりにして、第二の爆発が起きる可能性があるので、爆発現場から遠ざかる。

テロから身を守るために

  •  空港はしばしばテロリストの襲撃のターゲットとなっていることを念頭に置く。
  •  爆風によりガラスが飛び、被害を受けることがあるので、ガラスを多く使用した高層ビルの下等はなるべく通行しないようにする。
  •  爆弾テロの標的となるおそれのある人の多く集まる場所への立入りはできるだけ避ける。

事後対策

  •  事件発生の原因究明を行い、警戒を強化する。
  •  出入者、受理郵便物、小包等の検査を強化する。
  •  事務所周辺の路上駐車を禁止する。
  •  社員の自宅周辺、通勤途上の警戒を強化する。
  •  管轄警察署の地域担当者と連絡を密にする。

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