【注意喚起】銀行員や警察官等を装った電話詐欺(特殊詐欺)
令和6年8月13日
最近、銀行やクレジットカード会社或いは警察官等の公的機関の職員を装い、口座凍結や逮捕を示唆し、不安をあおって、お金を騙し取ろうとする詐欺被害の報告が複数寄せられています。同様の手口の詐欺は世界中で行われており、中には数万ドルの被害を受けたケースも確認されていますので、十分に注意してください。
1 当館に報告された電話詐欺の概要
(1)事例1
ア 銀行員を名乗る者から、「ワシントンDCにおいて、あなた(邦人被害者)のクレジットカードで武器の購入が行われた」という電話があり、身に覚えがないと伝えると、同銀行のスーパーバイザーを名乗る者に電話が転送された。同人物から「銀行の規則に従い、国土安全保障省に報告しなければならない。報告すると、あなたはブラックリストに載り、最悪の場合、刑務所に行くことになる。2時間以内にポリスレポートを取得し、こちらの銀行に送れば、あなたの潔白を証明できる」と言われ、電話をワシントンDCの警察署へ転送すると告げられた。
イ 転送先の警察官を名乗る者から、「ワシントンDCまで来て貰う必要がある」と言われたため、ニューヨーク在住であると伝えると、相手は「一度電話を切るがWashington,DC Police District 1の電話番号からかけ直す」と言いつつ、同警察署のホームページで電話番号を確認するよう求めた。その後、電話を切られたが、すぐに同ホームページの番号から着信があった。
ウ 電話の相手から特別にリモートでポリスレポートを作成出来ることになったとの説明があり、同レポート作成のために必要な録画をするとしてビデオ通話へ誘導された。ビデオ通話で警察バッジ及び証明書の画像を見せられ、氏名やIDなどの個人情報を聴取された。ポリスレポートの作成が終わったところで、「あなたが国際犯罪組織と繋がっていることが判明した。(テロリストとする男の写真を見せられ)あなたはこの男にIDを10,000ドルで販売した」と繰り返し怒鳴られた。近くでそのやりとりを見ていた知人からビデオ通話を直ぐ切るように強く促され、通話を切ったが、その後も「今すぐ逮捕しに行く」などといったメッセージが届いた。
(2)事例2
ア 携帯電話の着信履歴に「Public Service」の表示があり、番号を検索するとニュージャージー州警察の電話番号であった。再度同じ番号から電話があり、警察官を名乗る者から警察バッジ番号とケースナンバーを言われた後に、「あなた(邦人被害者)の名前で借りられた車がテキサス州で乗り捨てられているのが発見され、車内から薬物と小切手帳が見つかったため、薬物とマネーロンダリングの捜査が始まった。捜査のために銀行を凍結する。この通話は全て録音されており、証拠として裁判所に提出するので切らないように。もし切った場合は証拠として採用されなくなり、あなたを助けられなくなる」と説明された上で、口座が凍結される前にギフトカードを購入するよう勧められ、言われたとおり購入したが、相手から購入したギフトカード番号を証拠として記録すると言われたため、番号を伝えてしまった。
イ 不審に思い、相手との通話中、家族の携帯電話を使ってニュージャージー州警察の代表番号に電話し、自身の携帯電話で話している警察官への取り次ぎを依頼したところ詐欺だと判明し、相手にそのことを伝えた途端、警察官を名乗っていた者は通話を切った。
2 詐欺手口の特徴
当館に報告されている同様の詐欺事案には、以下のような特徴があります。類似する内容の電話があった場合は、詐欺を疑い、冷静に対応してください。
●銀行やクレジットカード会社或いは警察官等の公的機関の職員を名乗る者から、「ワシントンDCにおいてあなたのクレジットカードで武器の購入履歴があった」、「あなたの名前で借りられた車がテキサス州に乗り捨ててあり、薬物と小切手帳が見つかった」等の電話があり、口座凍結や逮捕、刑務所へ収監される可能性があると言われる。
↑被害者が実在の警察署に出向くことを阻止するため、居住地から遠い場所で犯罪があったと説明します。
●X時間以内にポリスレポートを取得し、こちらに送付すれば無実だと証明できると言われる。
↑時間制限を設けることにより心理的な動揺を与え、正常な判断ができなくなることを狙っています。
●銀行やクレジットカード会社の職員を名乗る者から警察官を名乗る者へ転送される。
↑複数人で犯行に及ぶことで被害者を信用させようとしています。また、警察官を名乗る者は相手を安心させるよう同情的なアプローチをすることがあります。
●実在する警察署の電話番号をHP等で確認させた後、一度電話を切り、再度着信した際に表示された電話番号が先ほど調べた実在する警察署の電話番号と同じであることを確認させる。
↑実在する警察署の電話番号を装うなど巧妙な手口で本物の警察官であることを印象づけ信用させます。騙されてしまう方の多くはこの手口で相手を信用していますが、電話番号の偽表示は詐欺グループの常套手段です。
●ビデオ通話への移行を求められる。
↑録画をするなどと伝え、被害者に動揺を与えます。
●ビデオ通話へ移行後、警察バッジや証明書の画像を見せられる。
↑本物の警察官であることを印象づけ信用させます。
●あなたは容疑者であるため本件を誰にも話してはいけないと言われる。
↑家族や知人に相談させず孤立させ、頼れるのは警察(偽)だけだと思い込ませます。
●行動を監視するため、証拠を残すためと理由をつけ、ビデオ通話は繋げたままにするよう指示される(切るとすぐにかけ直してくる)。
↑途中で詐欺が疑われた場合でも、誰にも相談させないようにします。
●あなたを無実にするべく関係機関に特別に口利きをすることが出来るが、XXドルの支払いが必要と言われる。
↑警察等の公的機関が電話で金銭を要求することはなく、荒唐無稽な話ですが、それまでの流れや心理状態によっては信用してしまうことがあります。
3 対策
上記に類似する電話があった際には、以下を参考にしてください。
●一旦通話を切って、必ず親族や知人に相談しましょう。詐欺グループは銀行の凍結や逮捕といった言葉を巧妙に使って被害者を焦らせ、正常な判断ができなくなるよう仕掛けてきますので、絶対に一人で抱え込まずに周りに相談し、客観的な助言をもらうようにしてください。
●仮に着信画面が実在する正規の電話番号と同一であったとしても、上記1及び2に類似する内容の話があった場合は、一度通話を切り、自ら該当の会社や公的機関に電話をかけ、事実確認を行ってください。
●警察バッジや証明書等を見せられた場合には、名前と識別番号などを控え、何らかの理由をつけて一度通話を切り、管轄の警察署へ連絡の上、控えた情報を伝えて、実在する警察官なのか確認してください。
※首都警察(Metropolitan Police)HPでは、詐欺グループが使用していた偽ID画像を掲載し、注意喚起を行っています(首都警察HPはこちら)。
●銀行やクレジットカード会社、公的機関が電話で金銭を求めることはあり得ません。金銭を要求された際には、詐欺の可能性が非常に高いため、通話を切り、警察に相談してください。
詐欺グループは様々な方法で被害者を信用させ、お金を騙し取ろうとします。幸い事前に詐欺だと気づいて被害を免れたケースでも、親族や知人の助言・指摘がなければ騙し取られていた可能性が高かった事案も少なくありません。また、この犯罪の傾向として、年齢を問わず幅広い層が狙われ、実際に被害に遭っているのが特徴です。詐欺を行う者は巧妙な手口で人を騙そうとし、心理的な操作を試みてきますので、電話やメッセージなどを続けるのはとても危険ですので、一度通話を切り、すぐに身近な人に相談することが肝心です。
在留邦人の皆様におかれては、上記を参考に、詐欺被害に遭わないよう十分ご注意いただきますよう御願いします。類似した内容の電話があった際には落ち着いて対応し、必要に応じて警察へ相談いただくなど、慎重に対処してください。
【ご参考】
・NYPDによる電話詐欺の注意喚起
・NYCによる10種の詐欺の紹介とその対策
・当館HP 2023年4月掲載:【注意喚起】実在する警察等の電話番号を偽装した詐欺事案
・当館HP:もし事件や事故に巻き込まれたら
1 当館に報告された電話詐欺の概要
(1)事例1
ア 銀行員を名乗る者から、「ワシントンDCにおいて、あなた(邦人被害者)のクレジットカードで武器の購入が行われた」という電話があり、身に覚えがないと伝えると、同銀行のスーパーバイザーを名乗る者に電話が転送された。同人物から「銀行の規則に従い、国土安全保障省に報告しなければならない。報告すると、あなたはブラックリストに載り、最悪の場合、刑務所に行くことになる。2時間以内にポリスレポートを取得し、こちらの銀行に送れば、あなたの潔白を証明できる」と言われ、電話をワシントンDCの警察署へ転送すると告げられた。
イ 転送先の警察官を名乗る者から、「ワシントンDCまで来て貰う必要がある」と言われたため、ニューヨーク在住であると伝えると、相手は「一度電話を切るがWashington,DC Police District 1の電話番号からかけ直す」と言いつつ、同警察署のホームページで電話番号を確認するよう求めた。その後、電話を切られたが、すぐに同ホームページの番号から着信があった。
ウ 電話の相手から特別にリモートでポリスレポートを作成出来ることになったとの説明があり、同レポート作成のために必要な録画をするとしてビデオ通話へ誘導された。ビデオ通話で警察バッジ及び証明書の画像を見せられ、氏名やIDなどの個人情報を聴取された。ポリスレポートの作成が終わったところで、「あなたが国際犯罪組織と繋がっていることが判明した。(テロリストとする男の写真を見せられ)あなたはこの男にIDを10,000ドルで販売した」と繰り返し怒鳴られた。近くでそのやりとりを見ていた知人からビデオ通話を直ぐ切るように強く促され、通話を切ったが、その後も「今すぐ逮捕しに行く」などといったメッセージが届いた。
(2)事例2
ア 携帯電話の着信履歴に「Public Service」の表示があり、番号を検索するとニュージャージー州警察の電話番号であった。再度同じ番号から電話があり、警察官を名乗る者から警察バッジ番号とケースナンバーを言われた後に、「あなた(邦人被害者)の名前で借りられた車がテキサス州で乗り捨てられているのが発見され、車内から薬物と小切手帳が見つかったため、薬物とマネーロンダリングの捜査が始まった。捜査のために銀行を凍結する。この通話は全て録音されており、証拠として裁判所に提出するので切らないように。もし切った場合は証拠として採用されなくなり、あなたを助けられなくなる」と説明された上で、口座が凍結される前にギフトカードを購入するよう勧められ、言われたとおり購入したが、相手から購入したギフトカード番号を証拠として記録すると言われたため、番号を伝えてしまった。
イ 不審に思い、相手との通話中、家族の携帯電話を使ってニュージャージー州警察の代表番号に電話し、自身の携帯電話で話している警察官への取り次ぎを依頼したところ詐欺だと判明し、相手にそのことを伝えた途端、警察官を名乗っていた者は通話を切った。
2 詐欺手口の特徴
当館に報告されている同様の詐欺事案には、以下のような特徴があります。類似する内容の電話があった場合は、詐欺を疑い、冷静に対応してください。
●銀行やクレジットカード会社或いは警察官等の公的機関の職員を名乗る者から、「ワシントンDCにおいてあなたのクレジットカードで武器の購入履歴があった」、「あなたの名前で借りられた車がテキサス州に乗り捨ててあり、薬物と小切手帳が見つかった」等の電話があり、口座凍結や逮捕、刑務所へ収監される可能性があると言われる。
↑被害者が実在の警察署に出向くことを阻止するため、居住地から遠い場所で犯罪があったと説明します。
●X時間以内にポリスレポートを取得し、こちらに送付すれば無実だと証明できると言われる。
↑時間制限を設けることにより心理的な動揺を与え、正常な判断ができなくなることを狙っています。
●銀行やクレジットカード会社の職員を名乗る者から警察官を名乗る者へ転送される。
↑複数人で犯行に及ぶことで被害者を信用させようとしています。また、警察官を名乗る者は相手を安心させるよう同情的なアプローチをすることがあります。
●実在する警察署の電話番号をHP等で確認させた後、一度電話を切り、再度着信した際に表示された電話番号が先ほど調べた実在する警察署の電話番号と同じであることを確認させる。
↑実在する警察署の電話番号を装うなど巧妙な手口で本物の警察官であることを印象づけ信用させます。騙されてしまう方の多くはこの手口で相手を信用していますが、電話番号の偽表示は詐欺グループの常套手段です。
●ビデオ通話への移行を求められる。
↑録画をするなどと伝え、被害者に動揺を与えます。
●ビデオ通話へ移行後、警察バッジや証明書の画像を見せられる。
↑本物の警察官であることを印象づけ信用させます。
●あなたは容疑者であるため本件を誰にも話してはいけないと言われる。
↑家族や知人に相談させず孤立させ、頼れるのは警察(偽)だけだと思い込ませます。
●行動を監視するため、証拠を残すためと理由をつけ、ビデオ通話は繋げたままにするよう指示される(切るとすぐにかけ直してくる)。
↑途中で詐欺が疑われた場合でも、誰にも相談させないようにします。
●あなたを無実にするべく関係機関に特別に口利きをすることが出来るが、XXドルの支払いが必要と言われる。
↑警察等の公的機関が電話で金銭を要求することはなく、荒唐無稽な話ですが、それまでの流れや心理状態によっては信用してしまうことがあります。
3 対策
上記に類似する電話があった際には、以下を参考にしてください。
●一旦通話を切って、必ず親族や知人に相談しましょう。詐欺グループは銀行の凍結や逮捕といった言葉を巧妙に使って被害者を焦らせ、正常な判断ができなくなるよう仕掛けてきますので、絶対に一人で抱え込まずに周りに相談し、客観的な助言をもらうようにしてください。
●仮に着信画面が実在する正規の電話番号と同一であったとしても、上記1及び2に類似する内容の話があった場合は、一度通話を切り、自ら該当の会社や公的機関に電話をかけ、事実確認を行ってください。
●警察バッジや証明書等を見せられた場合には、名前と識別番号などを控え、何らかの理由をつけて一度通話を切り、管轄の警察署へ連絡の上、控えた情報を伝えて、実在する警察官なのか確認してください。
※首都警察(Metropolitan Police)HPでは、詐欺グループが使用していた偽ID画像を掲載し、注意喚起を行っています(首都警察HPはこちら)。
●銀行やクレジットカード会社、公的機関が電話で金銭を求めることはあり得ません。金銭を要求された際には、詐欺の可能性が非常に高いため、通話を切り、警察に相談してください。
詐欺グループは様々な方法で被害者を信用させ、お金を騙し取ろうとします。幸い事前に詐欺だと気づいて被害を免れたケースでも、親族や知人の助言・指摘がなければ騙し取られていた可能性が高かった事案も少なくありません。また、この犯罪の傾向として、年齢を問わず幅広い層が狙われ、実際に被害に遭っているのが特徴です。詐欺を行う者は巧妙な手口で人を騙そうとし、心理的な操作を試みてきますので、電話やメッセージなどを続けるのはとても危険ですので、一度通話を切り、すぐに身近な人に相談することが肝心です。
在留邦人の皆様におかれては、上記を参考に、詐欺被害に遭わないよう十分ご注意いただきますよう御願いします。類似した内容の電話があった際には落ち着いて対応し、必要に応じて警察へ相談いただくなど、慎重に対処してください。
【ご参考】
・NYPDによる電話詐欺の注意喚起
・NYCによる10種の詐欺の紹介とその対策
・当館HP 2023年4月掲載:【注意喚起】実在する警察等の電話番号を偽装した詐欺事案
・当館HP:もし事件や事故に巻き込まれたら