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ピーナッツ加工食品のリコール(サルモネラ食中毒の発生)

2009年1月23日

1. ピーナッツ加工食品によるサルモネラ食中毒の報告

米国疾病対策予防センター(CDC)は、2009年1月20日現在、サルモネラ菌(Salmonella Typhimurium)に汚染されたピーナッツ加工食品が原因と見られる食中毒が流行しており、これまでに確認されているだけで、米国43州とカナダ合わせて475名(うち1名がカナダ)が発症し、そのうちの23%(約109名)が入院加療を受けたと発表しました。

また、食中毒が原因とみられる死亡者が6人いると発表しています。最新の発症者数等の詳細はCDCのホームページをご確認下さい。

(当館管轄州の発症状況(1月20日現在);
コネティカット州9名、デラウェア州0名、ニューヨーク州18名、メリーランド州8名、ペンシルバニア州14名、ニュージャージー州19名、ウェストバージニア州2名)
http://www.cdc.gov/salmonella/typhimurium/
リコール対象商品(食品)に関する情報
http://www.fda.gov/oc/opacom/hottopics/salmonellatyph.html#update
 

2. サルモネラ食中毒について

サルモネラの食中毒事例は、本邦ではここ数年間、腸炎ビブリオと共に代表的食中毒原因菌となっています。米国においても同様であり、年間約40000人の発症者が報告されており、医療機関に受診しない軽症例を含むと、その30倍近くの感染者がいるのではないかと考えられています。

原因となるサルモネラ菌は、自然界に広く分布しており、多くの種類(2000種類以上)に分かれています。家畜やペットも保有しており、特に糞便中に多く存在します。感染型食中毒を起こす種類は、食中毒性サルモネラと言われており、大別してネズミチフス菌 (S. Typhimurium )と、腸炎菌 (S. Enteritidis )があります。

夏場の食中毒の原因として、毎年多く報告されるサルモネラ食中毒は腸炎菌を原因とすることが多いのですが、今回の流行の原因菌はネズミチフス菌という種類になります。腸炎菌は鳥の糞から鶏卵が汚染され、鶏卵を調理する際に食品に入り込み人に感染します。ネズミチフス菌はその名のとおりネズミが菌を媒介することで食品に入り込み感染します。今回の食中毒も、汚染されたネズミが工場に入り込んだことなどが原因として考えられます。健康な大人なら心配はありませんが、ガン・糖尿病・肝臓病・エイズ患者、ステロイドを使っている人などの免疫力が弱まっている大人や乳幼児、高齢者は重症化し、サルモネラ食中毒が原因で毎年約400人が米国で亡くなっています。

 発症すると、多くは急性胃腸炎の症状があらわれます。感染後、通常8〜48 時間の潜伏期を経て発病しますが、3 〜4 日後に発病することも珍しくありません。そのため、原因となる食品が特定しにくくなることもあります。症状は、まず悪心および嘔吐で始まり、数時間後に腹痛および下痢を起こします。下痢は1 日数回から十数回で、3〜4 日持続しますが、1 週間以上に及ぶこともあります。また、発熱や筋肉痛、吐き気や下痢などの感冒様症状を引き起こします。さらにひどくなると、頭痛やふらつき、痙攣などの症状が現れることがあります。

発病が疑われる場合は、お近くの医療機関を受診して下さい。また、発症した場合、早めの対処が必要ですが、感染経路の多くが食品による経口感染であり、食中毒の原因の大半が食品の加熱不足にあると考えられているため、以下の予防法をご参照下さい。

(予防法)

  1. 肉・魚などはなるべく生食を避け十分に加熱する
  2. サラダなどで使う野菜は十分に洗う
  3. まな板・包丁などの調理器具は常に清潔にしておく
  4. 加熱用食材を加工する調理器具と、生食用食材を加工する調理器具を別にするなど、2次汚染を防止する
  5. 生の食材に触った後は、よく手を洗う等、作業毎に手洗いをする。
  6. ネズミの駆除。食品は常に冷蔵庫にしまう等、ネズミ等の動物と食材の接点をなくす
  7. あまり大量に作り置きしないでその日に作ったものはその日に食べきる作り方をする
  8. 食肉類、卵などは低温管理し、鶏卵は割ったままの状態で置かない等、食材の保存管理に気をつける。
  9. ペットに触った後は石鹸でよく手を洗う(カメや爬虫類等を触った後の感染がよくあります)
  10. サルモネラ保菌者は調理に従事しない

 

(まないたの消毒方法) *本邦では、まな板からの感染が多くみられます。

  1. 除菌ができる食器洗い用洗剤をまな板の上に中量たらし、フライ返しなどでまんべんなく塗る方法
  2. 漂白剤をまな板の上に流し、上に濡らしたタオルなどをしく方法
  3. 熱湯をかけ流す

などがあります。除菌するときだけではなく、常にまな板はきれいにするということが大切です。

(CDC、愛知県、東京都ホームページより抜粋、改変)

 

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