平成23年秋の外国人叙勲について(グラント・ウジフサ氏)
2011年11月03日
日本国政府は、11月3日に平成23年秋の叙勲受章者を発表し、ニューヨークに在住する日系3世のグラント・ウジフサ氏に旭日双光章が授章されることになりました。
ウジフサ氏の功績概要は以下をご覧ください。勲章の伝達式は2012年1月に当地ニューヨークで行います。
平成23年秋 外国人叙勲 功績概要
- グラント・ウジフサ氏(Grant Ujifusa、米国人、男性)
- 日系市民連盟(JACL)戦時日系人収容補償法制定委員会法制戦略委員長、「米国政治年鑑」創刊共同編集者
- 旭日双光章 The Order of the Rising Sun, Gold and Silver Rays
功績概要
ワイオミング州出身の日系3世である同人は、米国の議会情報を網羅する「米国政治年鑑」の創刊共同編集者として、また、様々な著作を世に送り出した編集者として、長年ワシントンの政治世界に深く携わってきた。同人は、その経歴を生かして、第二次世界大戦時の日系人収容の謝罪と賠償を米政府に求める市民自由法制定(1988年)に多大な貢献をした。特に、立法化に反対している米議会議員に対する働きかけ、法案の署名に消極的であったレーガン大統領の説得などの面で重要な役割を果たした。また、インタビューやメディア掲載を通じて右歴史を広く伝え日系コミュニティの次世代育成にも貢献した。
市民自由法制定における貢献
ウジフサ氏は、1983年から、日系市民連盟(JACL)戦時日系人収容補償法制定委員会法制戦略委員長(Chair of Legislative Education Committee, Japanese American Citizens League)として第二次世界大戦時の日系人収容の謝罪と賠償を米政府に求める市民自由法(The Civil Liberties Act of 1988)制定のためのリドレス(redress)運動に参加した。同氏は、市民自由法は、収容所に収容された日系人のみの問題でなく、米国民全体の権利の平等に関わる問題であると指摘し、法案制定に反対している議員や、法案の署名のためのレーガン(当時)大統領への働きかけなどの面で重要な役割を果たした。
次世代への発信
編集者としては、日系人の戦時収容の歴史に関するオーラルヒストリー「And Justice for All(John Tateishi)」(1984年)の編集を手がけた。また、自身もインタビューやメディア掲載を通じて、リドレス運動の次世代への発信に貢献した。その他、全米日系博物館理事、日系米国人メモリアル財団評議員を務めるなど、日系人の歴史・文化の保存にも協力してきた。
ウジフサ氏の横顔
ウジフサ氏は、岡山県出身の祖父が鉄道建設に従事するために移り住んだワイオミングで育った日系三世。日本語の堪能な母親から、日本の文化や伝統とともに、アメリカ人としての自由・平等の価値感を学び、それが後に市民運動に従事することに繋がったと語っている。高校時代は文武ともに優れ、ハーバード大学を1965年に卒業した。妻のAmyと三人の息子がいる。現在は政治コンサルタント。