1998年に全米中に187,000台あったATMは2003年には352,000台に激増しています。全米のATMを利用した銀行決済は年間平均140億ドルで、その内5千万ドルがスキミング犯罪等により被害を受けています。 NYPDの特別捜査チームによって最近発覚したスキミング犯罪では、犯罪組織によるATMのスキマー装着事件が20件あり、1,400社分のカードが合計2万6千件の違法預金引き出しに遭い、引出された預金の被害総額は3百50万ドルに上っています。
在留邦人の皆様にはATMを利用する際にスキミングの被害者とならないよう、犯罪の手口や対策について以下の通り紹介致しますので参考としてください。
スキミング犯罪の手口他人のキャッシング・カードを盗み出し、銀行口座から金銭を盗み取る手段は日本でもアメリカでも長年報告されている犯罪ですが、最近のポータブル・コンピューターの普及と個人用ハイテク機器の流行でスキマー(俗称)と呼ばれる磁気カード読取り装置が市場に出回っており犯罪に利用されています。このスキマーを悪用してATMから他人の銀行口座の現金を盗み取るのがスキミング犯罪です。 このスキミング犯罪にはハイテクのものからローテクのものまで使用する装備によって手法は何種類かありますが、ここ数年ニューヨークを始め全米で増加しているATMを利用したスキミング犯罪で特に多い手口は以下の通りです。
- スキマーと小型無線カメラを使った手法。(ハイテク・スキミング)
(イ)犯行者はまず予め犯行をしやすい警備員や銀行員の出入りの少ない無人ATM施設を探す。
(ロ)狙う先が決まったら次にその場所のATMの形状や色を観察する。
(ハ)その後現場を離れ、別途入手したスキマーの外観を、観察してきたATMのカード差し込み口部分の形状や色と同じように仕上げる。同時に無線式小型隠しカメラを偽造パンフレット・ケースに装着する。
(ニ)現場に戻り、用意したスキマーをATMのカード差し込み口にかぶせる形で取り付ける。同時に無線式小型隠しカメラを装着した偽造パンフレット・ケースをATM付近のキーパッドを映せる角度に両面テープ等で貼り付ける。
(ホ)準備が出来た段階で現場から少し距離をおいた所で待機する。
(ヘ)利用者が現われ仕掛がしてあるATMを使ったら、無線モニターにより利用者が押す暗証番号を読取り記帳する。
(ト)利用者が完全に去った後、そのATMに仕掛けたスキマーを外しポータブル・コンピュータと繋げて読み取ったカードの複製を作る。
(チ)後は、その複製カードと記帳した暗証番号を使ってATMから残金を引き出しスキミング犯罪を成功させる。
- 擬似スキマーと小型無線カメラを使った手法。(ローテク・スキミング-1)
(イ)〜(ヘ)の遣り口は上記のハイテク・スキミングと同じですが、
このローテク・スキミングでは高価な磁気読取り装置である本物のスキマーを使うのではなく、外観だけをATMのカード差し込み口部分に似せて造ったものを、構造的に一度挿入したらカードが引き出せないように細工したものです。
(ト)カードが引き出せないでいる利用者が、他の手段を探そうと気を取られたり、助けを求めようと一時その場を離れた隙に、ATMに仕掛けた擬似スキマーを外しカードを抜き出す。
(チ)後は、そのカードと記帳した暗証番号を使ってATMから残金を引き出す。
- 擬似スキマーのみを使った手法。(ローテク・スキミング-2)
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(イ)〜(ヘ)の遣り口は上記2.のローテク・スキミング-1と同じですが、この場合小型無線カメラを使って暗証番号を盗むのではなく、カードが抜き出せないで困っている利用者を助けるふりをして、犯行者の目の前で暗証番号を押させ、番号を盗みます。
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(ト)カードが引き出せないでいる利用者へもう一度暗証番号を押すようにアドバイスする。利用者は自分を助けてくれていると思い、犯人の見ている前で暗証番号を押す傾向にあります。
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(チ)カードが引き出せないでいる利用者が他の手段を探そうと気を取られたり助けを求めようと一時その場を離れた隙に、ATMに仕掛けた擬似スキマーをはずしカードを抜き出す。
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(リ)後は、そのカードと利用者自身が押した暗証番号を使ってATMから残金を引き出す。
以上3件のスキミング犯罪の他に、ATMのキーパッドの上部に外観を同じく似せて加工したタッチパネル式小型コンピュータとスキマーをかぶせ、利用者が暗証番号をそのラップトップ・コンピュータへ直接入力させて情報を盗もうとするものもあります。
スキミング犯罪対策
ATMを利用する際は以下に注意しましょう。
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利用の際、ATMに異常や疑わしい点あれば使わないようにしましょう。
ATMの使用中に背後から覗き見をしている者がいないか注意を払いましょう。
ATMを使用しているときは誰の助けも受けず、ATMへ挿入したカードが戻ってこないなどの問題が発生したら、添えつけの電話や、銀行のヘルプラインへ電話をしアドバイスを受けましょう。
カードの暗証番号はどのような理由でも他人に教えない。銀行員が利用者から直接暗証番号を聞くことはありません。
習慣的に銀行残高を確認し、身に覚えの無い預金引き出し等が無いか確認する。
その他、クレジット・カード等を利用する際の注意事項
ATMのみならず、クレジット・カードを盗難に遭い悪用されるケースも発生しておりますので、カード類を利用する際には以下に注意しましょう。
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盗難・紛失カードによる不正使用を防ぐため、カードの保管・管理には十分注意しましょう。
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カードの盗難・紛失した場合や、知らない間にカードを使用された形跡に気づいた場合には速やかにカード会社に連絡しましょう。
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カードの番号、住所などの個人情報は誰にも教えないようにしましょう。EメールやFAXでこれらの情報をやり取りしないようにしましょう。
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インターネット上で取引を行い、クレジット・カード番号や個人情報を入力する場合には、利用サイトのセキュリティに十分注意しましょう。
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