米国政府は2001年9月の同時多発テロ事件以降、全米規模で学校の危機管理対策の構築に乗り出していますが、昨年9月ロシア南部の北オセチヤ共和国で発生した学校占拠事件を受け、同様の大惨事が米国内の教育施設で起こらぬ様、危機管理対策の見直しを行い、各州の公立、私立学校等教育関係施設に対し、危機管理対策の強化についての基本指針「教育施設が危機管理対策を構築するに当たり必要な基本指針」を示しております。 つきましては、本件指針の概要は下記の通りであり、別途日系教育機関等へは連絡を行う予定ですが、ご参考までに在留邦人の皆様にお知らせ致します。
「教育施設が危機管理対策を構築するに当たり必要な基本指針」
1.基本的な安全対策意識を認識する
国内、国外問わず、過去に学校で起った事件を把握し、模造犯罪の続発防止を心がける。ベスランの学校占拠事件を検証し、もし自分の学校で同様なる事件が起こった場合、まず最初にどう対処すれば良いのか、地元警察を含め保護者、学校とで十分な検討をしておく事で事件発生時の精神的動乱を少しでも抑え、効果的な対応に取り組めるように心掛けておく。
2.非常事態発生時、子供がとる初期対応、避難方法、緊急連絡先網を構築する教師、事務員、作業員、スクールバス運転手等、学校関係者全員が非常事態発生時の犯人との対応から捜査・救援部隊到着後の対応を検討しておくことで、連鎖パニック等による事件の犠牲者拡大を最小限に抑えられる様に準備しておく必要がある。 また、見慣れない人物が校舎内や周辺をうろついていたり、不審なトラックや車両が校舎近くに停まっている事等も含め、職員等の間で常に情報交換をする習慣付ける事や、必要に応じて警察等へ巡回警備の依頼をする事で、事件発生に対し抑止効果を計ることが出来る。その他以下の点に留意しておくこと。
- 学校駐車上の職員と来訪者の駐車スペースの識別をハッキリと表示し、職員、来訪者に拘らず駐車許可書の表示義務を徹底する。
- 校舎駐車場に警備員等が常駐しておらず、無人になる時間帯が長くある場合、監視カメラを設置し周囲の危険察知を心掛ける。
- 校舎内で不審物が発見された場合の対処法を全職員が認識しておく。
- 駐車場、屋上を含む学校施設内での常時の安全点検を全職員が認識しておく。
- 屋上等が隣の建物と繋がっている場合、侵入者の出入りを知らせる赤外線感知機等の警報システムを設置しておく。
- 学校終了後や休校時、屋外へ通ずる窓、扉の施錠確認を徹底すると同時に、侵入者の出入りを知らせる赤外線感知機等の警報システムを設置しておく。
- 不審人物が学校内にいた場合、児童がとるべき対応や職員への連絡方法等について予行練習を行い理解させておく。
3.緊急事態時における校舎外への避難方法の確認
人質立て籠もり、火災、ガス漏れ等の緊急事態の状況別に最も効果的な避難方法を構築しておくことで、逃げ遅れによる子供への被害を最小限に抑えられるようにしておく。又、ボイラー、電気、ガス、水道等の非常事態における遮断操作のケースバイケースの予行練習をする事で2次災害防止に努める。
4.緊急事態用の食料と飲料水の備蓄校舎内で人質占拠事件が発生する事も想定し、保存食と飲料水を備蓄しておく。備蓄しておくべき量は学校の規模や所在地の環境により異なるが、全校職員と生徒が最低3日間は摂取出来る量を目安とする。
5.緊急事態用の医薬品の備蓄上記 4. の食料と飲料水同様、緊急用の医薬品も最低3日間の目安で応急処置が出来る体制を整えておく。又、各職員が重傷者へ止血や人工呼吸等の緊急対応が出来るよう訓練をしておく事も重要である。
6.緊急事態用の連絡機器の準備事件発生時に速やかに各職員同士が必要な情報交換を出来るよう無線機を準備しておく。各部署に最低一台ある事が望ましくバッテリーの充電状況を常にチェックしておく。携帯電話の分を含めた予備バッテリーもある事が望ましい。又、重要連絡先番号も一緒に保管しておく。
7.緊急事態時の職員が生徒に行う対応生徒のパニックをいかに抑制できるかを専門家と相談し年齢別による緊急時の生徒への対応方法を全職員の間で確認しておく。
8.学校周辺の特殊施設の把握
軍基地、政府施設、飛行場、科学工場、原子力発電所等、テロリストが攻撃する可能性があると考えられる場所に近接する学校は、常に地域の安全情報に注意し、非常事態が発生した場合の避難方法等の対策を確認しておく。
9.緊急事態別対応の確認テロ攻撃や爆弾脅迫事件、又は不審者による犯罪行為では対処法が異なる為、地元警察の協力を得る等してケースバイケースによる対応を確認しておく。
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