当地日系旅行社によると今年のゴールデンウイーク期間中のニューヨーク向け邦人旅行者数は10〜20%の増加が予想されるとのことです。在ニューヨーク日本国総領事館では当地NGO組織「日本評議会」とタイアップし、ニューヨーク市警の協力を得て、4月21日、ゴールデンウイークを控えての邦人向け安全対策説明会を実施しましたので、ご紹介致します。
防犯対策について
NYPD防犯部担当官よりニューヨーク市における防犯上の心得について以下の通り説明がありました。
- (1)ニューヨークは過去と比較して非常に安全な都市となっているが、安全に対する注意は必要です。もし、ニューヨーク市に不慣れで旅行する場合はグループで行動するか、少なくとも2人組で行動することをお勧めします。
- (2)スリはニューヨークで最も多い犯罪であり、マンハッタンの42丁目の混雑する場所ではスリが横行しているので特に注意が必要です。同時に人気のない通りや夜間の薄暗い通りでの行動は避け、明るい大通りを利用するよう心がけましょう。また、紙幣や貴金属、ipod等の貴重品は目の触れないようにしましょう。地下鉄についてはMTA(都市交通公団)やNYPD(ニューヨーク市警)が警邏に当たっているので、夜でも比較的安全です。
- (3)泥棒は集団で盗みを働きます。例えば1人が地図などを広げて被害者の注意を逸らし、もう1人が財布や鞄、貴重品等を盗むと言った具合です。
女性で注意すべきことはショルダーバックのかけ方です。ショルダーバックは片方の肩に掛けるようにして決してたすきがけにはしないことです。たすきがけにするとバッグのベルトで首を絞められ怪我をする可能性があります。
男性で注意すべきことは財布の持ち方です。財布はシャツのポケットまたは上着の内ポケットに保持し、目の届かないズボンの後ろポケットなどには入れないようにしましょう。しかし、金や鞄や財布をよこせと言われたら安全のためあっさり渡しましょう。
- (4)ATM現金自動払い機:
ATMからの現金の引き出しは銀行内に設置されたものを利用し、道路上に面したATM機の利用は避けましょう。銀行内のものを利用する方が防犯カメラも設置されているため格段に安全です。また、日中の明るい時間に利用し、何者かが潜んでいる様子であれば直ぐに銀行か警察に連絡してください。また、所持金・カードも当日必要なものだけを限定し財布に入れ持ち歩きましょう。
- (5)ホテルでの犯罪:注意を逸らした鞄や携行品は簡単に盗まれるので、所持品から目を離さないことが重要。盗まれるのを避けるためには、自分自身で携帯することを心がけましょう。
- (6)ヤンキーズ観戦:人が大勢集まる場所では犯罪が発生しやすくなっています。しかし、ヤンキーズ戦のようなプロの試合がある場所には警察が常駐するので、犯罪に巻き込まれたら警察を呼ぶか、911に電話(日本の110番)しましょう。
犯罪発生の抑止と警察・地域住民相互協力関係の重要性について
NYPD捜査官より、以下の通り説明がありました。
- (1)ニューヨーク市警の任務は地域住民と協力し、テロを防止すること、テロに対する恐怖を軽減すること、また、全てのニューヨーク市民の生命財産を保護することにあります。
- (2)ニューヨークは5つの地区から形成され、面積は780平方キロ、人口は800万人以上となっています。1960年代から比較して犯罪発生件数は着実に減少しています。犯罪発生件数は昨年同期と比較して17%の減少となっています。
- (3)ニューヨーク市警は危険の軽減及び治安維持のため地域住民と共に活動しています。また、最近の一般犯罪発生率の低下に伴い、現在当局はテロ問題に重きを置くといった政策を取り始めています。犯罪を減少させる基礎は地域住民と警察のパートナーシップの形成が不可欠と考えており、ニューヨーク市警は地域住民とのパートナーシップとリレーションシップを構築することにより、犯罪を特定する一助にしたいと考えています。
- (4)犯罪の発生の原因としてその地域住民関係の荒廃があり、犯罪は荒廃した地域住民に向かってゆく性質があります(Broken
Window
Theory)。従って、犯罪発生を低下させるには地域住民の関与と協力が不可欠です。
テロ対策について
引き続き、テロ対策につき以下の通り説明がありました。 - (1)米国ではテロ脅威レベルが導入されて以来、ニューヨーク市は継続してオレンジ(危険度:高)にあり、常にテロのターゲットとして位置づけられています。
- (2)ニューヨーク市警には約38,000の人員がありますが、更に15,000人の市民ボランティアの協力を得ています。ニューヨーク市警は一般住民から情報をどのような小さなものでも良いので得たいと考えており、テロを抑止するために市民の協力は不可欠と考えています。
- (3)テロリストたちの目標は「恐怖」を構築することであり、テロリストたちが恐れるのは警察の目、耳となるあなた方一般市民です。FBIはテロリストたちの目標は彼らの政治的、社会的目的のために、国家及び国民を抑圧することであり、そのために恐怖を構築し、彼らの組織を認知させ、国家の反応を引き出したり、金や機材を入手したいと望んでいます。現在世界には182のテロ組織が存在しますが、中でもほとんどが中近東に存在します。
- (4)テロは事前段階(Pre-incident
phase)で失敗させることが可能です。あなた方が観察しテロ実行段階前に当局に通報することにより可能となります。テロ(または犯罪)は欲望(desire)、能力(ability)と機会(opportunity)の3つの条件が揃ったときに発生します。我々は欲望と能力をテロリスから奪うことはできませんが、あなた方の観察と通報により彼らから機会を奪うことができます。
- (5)仮にあなた方が不審な活動を見かけたとしても、あなた自身が直接行動を起こさないこと、立ち向かわないこと、巻き込まれないことが重要であり、見たことを記録し通報して下さい。
- (6)ニューヨーク市警には危機対応ユニットである「Operation
Atlas」部を有しており、これらはNBC(放射性、生物、化学)兵器に即応できる部隊です。また、全ての市警職員はコブラ・トレーニングと呼ばれるNBC対策訓練を受け、テロに備えています。
また、ニューヨーク市警では緊急事態に際し独自に警察が対応できるプラン(emergency
back-up
plans)を有しており、万一警察本部が攻撃を受け機能しなくなった場合には、指定された8警察署の一つが直ちに警察本部の機能をもつことが可能となっています。
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