最近ニューヨーク市内においてiPodを狙った犯罪事件が頻発しています。
ニューヨーク市警察は、当初(iPodに絡む犯罪を最初に認知した2004年末)は、特定の少年ら
による強奪犯罪として分類していました。しかし、その後数ヶ月間にサブウエイを含む市全域で
iPod強奪事件が連続発生し、同時に犯行の凶悪化が目立ってきており、マンハッタンのアパート
でiPodを狙った拳銃強盗殺人未遂事件も発生しています。
なぜiPodが狙われるのでしょうか。
警察当局はこの強奪犯罪で、犯人はiPodというデジタルプレーヤーが欲しいために強盗を行う のでは無く、プレーヤーに記録される最高15,000曲の楽曲の奪取が目的であると分析しています(警察当局の調べによると5千曲余りの楽曲の価値は3,000ドルに相当するようです)
。ニューヨーク市警察は、iPod関連事件を特定占有物をターゲットとするパターンクライム(流行犯罪)と指定し、本格的な防犯体制の構築に努めています。
ニューヨーク市警察の対応策は
ニューヨーク市警察は、このパターンクライムの更なる悪化を懸念し、市内の地下鉄車両と駅
構内、並びに各高校の登下校時間帯に於ける防犯活動強化に本腰を入れています。またiPod所有者への防犯支援として、市警察ブルックリン区78分署は各自のiPodにID番号を入れて、同番号を市警察が管理するシステムの施行を始めました。ID番号登録に関する案内(78分署防犯課)(718)636-6433。なお、その他分署もID登録サービス準備中です。
また、iPod並びに携帯電話のID番号登録サービスを行う最寄の分署についての情報は、ニューヨ ーク市案内課311番へ電話をして問い合わせが出来ます。
公共の場所に於けるiPod使用上の注意点以上のニューヨーク市警察の対応策はありますが、iPod使用者も公共の場所においては各自以下のことを注意することが必要です。
(1)地下鉄乗車中、又は駅構内にいるにかかわらずiPodの使用は特に周辺の状況に気を付けて行う。周辺に人気の少ない場合はバッグ等にしまい使わない方が望ましい。 (2)iPodを狙う強奪犯人は、付属品である白色のイヤホンを目印に狙いを付けてくるので、イヤホンだけを他色の物にかえる事によって事件遭遇率を抑えることが出来る。
(3)地下鉄乗車中にiPodを聴いている場合、特に周りの状況に注意する。iPodを人目の付くところで操作したり
、音楽に聴き 入っていて周囲への警戒心が薄い時に犯人は狙いを付けて来る。
(4)自分の子供がiPodを使って高校等へ通学している場合は、本 事情を説明し細心の注意をさせる。
これまでに報告のあったiPod強奪事件の概要についての紹介
(1)2004年12月末、マンハッタン・ダウンタウン地区の同校の高校生が帰宅途中、iPodを脅し取られたのを筆頭に、同じ週に2件の類似強奪事件が発生した。同連続事件の犯人は同一犯である実証は取れてないものの、被害者等の証言より犯人は全員高校生風の黒人少年グループであるとされた。 (2)しかし現在市全域で発生しているiPodを狙った類似事件の犯人は10代半ばより20代前半と年齢層に広がりを見せており、犯行手口が凶悪化傾向にある。本年4月にはiPodを聴きながら歩いていた20代女性が尾行され、その交際相手が拳銃で撃たれるという事件が発生している。 (3)その他、犯罪動向として特に顕著であるのは地下鉄内でのiPod強奪事件の連続発生である。ニューヨーク市地下鉄犯罪統計の犯罪発生率が毎年減少傾向にあったものを今年に入って悪化させる事になったのは、iPodと携帯電話の強奪犯罪が主な要因となっている。 (4)本年第1四半期に発生した地下鉄(駅構内含む)の重罪事件数は891件、内215件がiPod並び携帯電話強奪事件であり、昨年同期の重罪事件数753件を18.3%上回っている。マイケルファラーレ・ニューヨーク市警察副長官はもしiPodに絡む強奪事件がニューヨーク市の地下鉄で発生していなければ犯罪発生率は前年より3%も減少していることになるとコメントし、iPod関連事件を深刻に受け止めている。 (5)また、ニューヨーク市教育委員会はiPodの窃盗事件が市全域の高校内でも多発している事について、減少傾向にあった学校犯罪発生率が、昨年の同期に比べて2005年の第1四半期では41%増加している事に懸念を示している。
(6)個別の事件
(イ)2004年12月末午後3時頃:マンハッタン地区の高校に通う17才少年が帰宅途中、近寄って来た3人の黒人少年にiPodを渡すよう脅し奪う。また、翌日同じ高校生が帰宅途中に同様の被害に遭遇。 (ロ)2005年1月午後3時30分:男子高校生が地下鉄チャンバーストリート駅の入り口で2人組みの男に羽交締めにされiPodを奪われる (ハ)2005年2月8日:ブルックリン地区の高校生がiPodを聴きながら地下鉄Qライン線に乗車中、近寄って来た見知らぬ黒人少年にiPodを渡すよう脅されたが拒否したところ、ナイフで数箇所刺され大怪我をする。犯人はiPodを奪い次の駅で下車し逃走。 (ニ)2005年4月18日午前11時:マンハッタン地区西108丁目の自宅アパートに向かってiPodを聴 きながら歩いていた女性が、尾行して来た犯人に背後から拳銃を突きつけられiPodと現金を渡すよう脅される。被害者の交際相手の男性が助けに入ったところ、犯人は男性に向かって拳銃を数発発射し逃走。撃たれた男性は重傷を負い病院に搬送。 (ホ)2005年4月21日夜8時20分:セントラルパーク内(西108丁目付近)をiPodを聴きながらランニングしていた男性が黒人少年グループに殴る蹴るの暴行を受けた上にiPodを強奪される
。 (ヘ)2005年6月11日午前11時11分:クイーンズ地区の地下鉄ジャマイカ駅構内にいた少年が黒人少年らに羽交締めにされiPodを奪わる。
(7)関連データ:
(a)2005年のニューヨーク市地下鉄警備を担当する警察官は2,675人。
(b)2005年第一四半期の地下鉄内における犯罪発生件数合計は891件で、その内iPodと携帯電話の強奪事件が215件発生している。尚、2004年には地下鉄内でのiPod強奪事件の被害届けは 出ていない。
(c)iPod並びに携帯電話のID番号登録サービスを行う最寄の分署についての情報はニューヨーク市案内課311番へ電話をして問い合わせが出来る。
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