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2007年10月26日 |
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- 日時:9月17日(月)18時〜20時
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講師:武井康悦医師(コロンビア大学プレスビテリアン病院、循環器内科)
- 概要:
(1)内因性の突然死の数は米国では毎年40万人、日本でも5万人以上と言われ、今後高齢者人口の増加に伴い、増えると予想されている。ドリンカーの生存曲線と呼ばれるものがあるが、これによれば、呼吸停止後、分きざみで生存率が下がり、7ー8分でほとんど0に近くなる。ちなみに日本で救急車到着までの平均時間は6.5分と言われており、ほとんどのケースが間に合わない事になり、救急隊が到着するまでの処置の重要性が指摘されている。
(2)救命の連鎖は4つの輪で成り立っていて、成人の場合、
- 迅速な通報、
- 迅速な心肺蘇生、
- 迅速な除細動、
- 二次救命処置である。
最初の3つはいずれも現場にいる人が行う必要がある。
(3)突然死の多くを占める心室細動は、電気的除細動処置が最も効果的な治療である。この処置を行う自動体外式除細動器(AED)は日本でも爆発的に普及し、病院、老人ホーム、学校、空港、競技場、ホテルなどに設置されている。AEDの普及により救命率が上昇したとのデータもあるが、上昇が認められなかったとする報告もあり、AEDの前、できるだけ早期から十分な強さと十分な回数の胸骨圧迫(心臓マッサージ)が絶え間なく行われる事が重要、と2005年の国際コンセンサスで見直しが行われた。
(4)小児、乳児の心肺停止の特徴として、
- 大部分は親、シッター、保育士などの監視下で発生している。
- 原因の大部分は進行性呼吸不全とショックである。
- 心臓が原因である事は稀。
- ほとんどは低酸素、高炭酸ガスの血液状況となり、徐脈となり心停止となっている。
などが挙げられる。
(5)実際の手順としては、
- 傷病者発見、
- 感染防御・安全確認(手袋・フェイスシールドの用意。周囲の安全確認)、
- 意識確認(遠くから声かけ、近づいて肩を軽くたたく)、
- 応援要請(他の人を呼ぶ。911に連絡を依頼する)、
- 気道確保(頭部後屈顎挙上法)、
- 呼吸確認(Look:胸郭の動きを見る、Listen:呼吸を聞く、Feel:吐息を感じる、を10秒以内に確認。頸動脈の触知で循環を確認)
- 人工呼吸(フェイスシールド等を用いて、1秒で胸郭の上がりが見える程度の息を2回吹き込む)、
- 胸骨圧迫(胸の真ん中、両乳頭を結んだ線の真ん中胸骨上に手掌を置き、もう一方の手を重ねて置く。4−5cm沈む程度、最低でも1分間に100回、真上から圧迫開始)、
- 胸骨圧迫+人工呼吸(胸骨圧迫と人工呼吸は同期して交互に30対2の割合で継続)、
- AED装着(AEDは届き次第装着。電源を入れ、パット装着。)、
- AED実施(自動解析開始されるので音声指示に従い除細動を施行。)、
- 胸骨圧迫再開(除細動施行後すぐに胸骨圧迫を再開。2分後、5サイクル後に呼吸、脈拍確認。AEDは自動的に再解析を開始する)、
- 胸骨圧迫交代(担当者は疲れたら5秒以内に交代する。)、
- CPRの中止(応答がある場合は中止しても良い。救急隊が到着するまで続ける)、
- 引き継ぎ(MIST、Mechanism受傷機転、Injury受傷部位・主訴、Sign症候・症状、Treatment処置を説明)
(6)窒息について
窒息のサインは、万国共通で両手で首をつかむようなしぐさ。軽度であれば咳を促す。重篤ならば救急車を呼ぶ。気道を確保してHeimlich法を試みる。咳、胸郭、手足の動きなどの反応がない成人の場合には、
- 硬い平面にのせる、
- 呼吸・循環の確認、
- 救急車を呼ぶ、
- 気道を確保し気道内異物を確認、
- 心肺蘇生、の順で処置を行う。
Heimlich法は、
- 背部に回り(子供の場合片膝をついて)傷病者の胸に両腕をまきつける、
- 片手で握りこぶしを作る、
- 握り拳の手の親指側をみぞおちの近くに置く、
- 握りこぶしをもう片方の手でつかみ、すばやく腹部を突き上げる、
- 異物が排出されるまで実施する、といった手順である。
呼吸が戻ったら、回復体位にする。
(7)
続いて、CPR用人形を使用して実習が行われた。
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