概要:
(1)宇多田氏(壮年会代表)より、老後を考える会、改め壮年会の設立経緯が説明された。
(2)次にバーンズ静子より「高齢者のきこえと言葉クイズ」の話。自身の経験を元に、補聴器メーカー(Oticon社)の資料等から発表が行われた。
難聴の検査は早めに行い、軽度のうちに補聴器をつけた方が良い。50代位から高い音が聞こえなくなる。最後まで聞こえるのは低いうなり声。子音などが落ちてくる。40dBを超えたら装着して良い。50dB低下は必須。純音聴力の他、語音明瞭度の問題も生じるので、難聴が進行する前の補聴器の早期着用、早期訓練が効果的。
両耳装着の利点は、音の方向性がわかる、遠くからの音が聞こえる、うるさい場所でも聞き取りがよくなる、自然な音が聞こえる、言葉を聞き取る能力が高まる、疲れにくい等がある。片耳装着ではがやがやした場所で聞き取りにくい。
高齢者の聞こえにくさは、音量のみならず、処理のプロセスの低下による。従って、早口にせず、相手の反応を待つ時間をとる、相手の理解を確認の上次の話へ進む、頻度の少ない言葉は使わない、といった事に注意する必要がある。
高齢化すると喚語困難(言葉の喚起の障害)が生じる。特に人の名前など固有名詞が思い出せない。しかし喚語困難は、20歳でも月に3.9回、40歳でも5.4回、60歳で6.6回程度ある。音読のスピードは落ちているが、加齢による黙読の能力の低下は、少なくとも70歳位まではないと言われている。決め手は日頃からの読書経験の差である。字体の大きな本が、もっと発行されるべきと考える。高齢者は喚語困難はあるが、言葉を知らないわけではない。70歳の語彙数は20歳の1.3倍と言われている。