はじめに

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在ニューヨーク日本国総領事館の管轄地域(注1)には、約6万9千人の日本人が滞在しています。このうち、ニューヨーク都市圏(注2)には約3万7千人が滞在しており、世界でも有数の規模となっています(在留届ベース)。また、ニューヨークは世界で最も有名な観光地の一つであり、世界各国から年間6千万人もの観光客が訪れます。

このように多くの日本人が渡航・滞在する当地では、1990年代初頭に比べれば治安は格段に改善しましたが、2020年頃から新型コロナウイルスの影響による失業率の上昇や社会不安等により、徐々に治安が悪化し、特に都市部ではアジア系に対するヘイトクライムが拡大するなど、様々な犯罪が増加しました。経済社会活動がほぼ戻った現在でも、一般犯罪発生件数は依然として同水準のまま推移しています。また、最近では銀行員、警察官、税関職員、さらには総領事館職員を装って不安を煽りお金をだまし取る電話詐欺(特殊詐欺)も多く報告されるなど、犯罪の手口は巧妙化、多種多様化しています。 常日頃から情報を収集し、治安情勢の把握に努めるとともに、安全確保のための基本的な心構えと相応の備えが大切です。

2001年に米国で発生した同時多発テロ事件(9.11)は遠い昔の話ではありません。その後も世界各地において、一般市民や観光客が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のいわゆる「ソフトターゲット」を標的とした無差別テロが発生しています。 当地においても、ニューヨーク市チェルシー地区における爆発テロ(2016年)、ニューヨーク市マンハッタンでの車両突入テロ及び地下鉄通路爆発テロ(2017年)、タイムズ・スクエアにおける警察官襲撃事件(2022年)等が発生しています。日本人や日本の権益が直接テロの対象となる可能性は概して高くありませんが、現下の世界情勢に鑑みれば、ソフトターゲットを狙ったテロ事件に巻き込まれる危険性は排除されませんので、常に安全を意識し、慎重に行動することが重要です。

本資料では、基本的な安全対策、テロ対策等のほか、自然災害等が発生した際の対応についてわかりやすく説明しています。当地に渡航・滞在される日本人の皆様の安全対策の一助となれば幸いです。

(注1)在ニューヨーク日本国総領事館の管轄地域
ニューヨーク州、ニュージャージー州、ペンシルベニア州、デラウェア州、ウエストバージニア州、コネティカット州(フェアフィールド郡)、プエルトリコ、バージン諸島
(注2)ニューヨーク都市圏
 ニューヨーク市5区(マンハッタン、スタテンアイランド、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス)、ウェストチェスター郡、ロングアイランド郡(ナッソー郡、サフォーク郡)

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