在留邦人の皆様
平成25年7月29日
在ニューヨーク日本国総領事館
※本メールは緊急情報ではありませんが、今後、メールマガジンとして『 パークアベニュー299 』の名称で皆様に情報を発信させて頂きます。
パークアベニュー299 第1号
~領事部より~
● 在留邦人の謎-就労女性はたった2200人?
読者の皆さんは旅券をお持ちのはずですが、旅券の最後のページをご覧になられたことがあるでしょうか。この注意欄に、外国に3か月以上滞在する人は、住所を管轄する在外公館に届け出なければならないと書かれています。この届出は旅券法16条で定められていて、在留届のことを指します。
外務省では毎年10月1日現在の在留邦人の数を集計し、在留邦人数統計として公表しています。この在留邦人数は在留届を集計したものです。この数には在留届を提出したままで帰国したか、管轄地外に転居した人も含まれています。
在留届には渡航目的を記入していただきますが、大別すると永住者と長期滞在者に分かれ、長期滞在者は民間企業関係者、報道関係者、自由業関係者、留学生・研究者・教師、政府関係職員、その他に分類されています。
さて、平成12年と平成22年の在留邦人(当館管轄内)を比較してみました。
| 平成12年 | 平成22年 |
在留邦人数 | 90726人 | 94448人 |
長期滞在者 | 73343人 | 73693人 |
永住者 | 17383人 | 20736人 |
この中の長期滞在者の民間企業関係者と留学・研究・教師の男女の数に注目してみました。
| 平成12年 | 平成22年 | 12年/22年比較 |
民間企業関係者 男 | 18516人 | 14550人 | 22%減 |
女 | 673人 | 2293人 | 340%増 |
留学・研究・教師 男 | 7979人 | 7333人 | 8%減 |
女 | 6623人 | 9092人 | 37%増 |
民間企業で働く人、留学/研究/教師で滞在する人は男性が減っている一方で女性は増えています。民間企業関係者では女性は3.4倍にも増え、留学/研究/教師で滞在する女性も37%増えています。海外進出に見られる女性のパワーがこの数字に表れているのではないでしょうか。
ところで、皆さんの回りを見てみると、働く日本人女性は2千人では少ない、もっと大勢の日本人女性が働いているはずだと思う人もいるでしょう。恐らく、その感覚は間違っていないと思われます。この統計と実感の違いは在留届の性質によります。
留学などで外国に渡航し在留届を提出した方は、滞在目的を留学として提出します。その方がその後就職しても、滞在目的を変更しなければいつまでも留学にカウントされたままです。同様に留学後に国際結婚して永住して仕事している人も留学のままです。
このように在留届は提出時の実態は反映しますが、その後の変転までは反映されず、そのため、実態とは違った数が出てくる可能性があります。
総領事館では実態に合わせるように、新たに来られた方や未提出の方には在留届の提出をお願いし、帰国したり転居した場合にはその旨を届け出ていただくようお願いしています。また、滞在資格が変更した場合についてもその旨届け出ていただくようお願いしています。
在留届はいわば在外公館と邦人の皆様をつなぐかけ橋です。皆様からの正確な届出があってこそ、在留届の意味もでてきます。危機管理の意味合いからもぜひ届出をお願いします。
● ハリケーンや洪水の危険度チェックはお済みですか?
最近、サンダーストーム警報やフラッシュフラッド(鉄砲水)警報がニューヨーク近郊に出されることもしばしばあり、大雨の影響で道路が冠水したり、河川の水位が上がったりするのを目にします。この光景は、昨年10月下旬に東海岸全体に大きな被害を及ぼしたハリケーン「サンディ」を思い起こさせます。
本年6月、ニューヨーク市はハリケーン「サンディ」による被害を踏まえて、これまで3段階(A~C)としていた「ハリケーン退避ゾーン」を6段階(1~6)に変更したと発表しました。この変更により、退避命令が最高「6」になった場合、ニューヨーク市居住者の37%(299万人)が退避ゾーンに居住しているとのことです。
ニューヨーク市に限らず、特に沿岸地域を抱える各自治体は、ハリケーンや洪水などの水害に備え、退避ゾーンや退避ルートを各自治体ホームページに掲載しており、また、以下の連邦緊急事態管理庁(FEMA)ホームページでは、住所を入力することで、居住先などの洪水危険度(3段階)を確認できるようになっていますので、こちらもご参照ください。
※連邦緊急事態管理庁(FEMA:全米洪水保険制度)
http://www.floodsmart.gov/floodsmart/
● I-94自動化に伴う注意事項(出入国記録情報入手方法、旅券の記載訂正)
本年4月13日に当館ホームページでお知らせしましたとおり、米国ではI-94(出入国記録)の自動化システムが4月末より導入されています。
これにより、これまで米国非移民査証(ビザ)を取得している外国人は、米国に入国する際に入国審査官にフォームI-94(出入国記録カード)を提出していましたが、4月30日以降、難民や亡命者等の一部の外国人を除き、空路または海路で米国に入国する場合は、運航会社(航空会社や船会社)の乗客情報を基にCBP(税関国境警備局)が電子的に入国記録を作成することになるため、入国する外国人本人がフォームI-94を提出する必要が無くなるというものです(陸路での入国の場合には、従来どおりフォームI-94の提出が必要となります。)。
これまで滞在資格などは、入国審査後に旅券(パスポート)に綴じられるI-94(出国カード)で立証できていましたが、CBPによれば、4月30日以降、米国国内での運転免許証やソーシャルセキュリティ番号(SSN)の申請などのために出入国記録情報が必要な場合には、CBPウェブサイト(
http://www.cbp.gov/I94)から出入国記録情報(番号)を入手することが可能としています。
また、今般、この変更に関連して以下の相談事案がありましたので紹介します。
駐在員の配偶者としてJFK空港に到着された邦人女性から、「自分のI-94をCBPウェブサイトにて確認したところ、名前が旧姓で登録されている。今後SSN等を当地で取得したい関係で、これを正しい記載にしたいが、どこに申請すればよいか」というものでした。邦人女性の現有旅券について確認したところ、旅券は結婚前に取得されたもの、つまり、旧姓で発給されたもので、結婚後、「追記事項欄」に結婚後の姓等が訂正記載されていました。
皆様がお持ちの旅券は古いものを除き、MRP(機械読取式)旅券のため、入国審査の際、データは機械で読み取られます。結婚などで姓が変わり、記載事項訂正で追記欄に改姓後の姓が記載されている場合、機械で読み取られるデータは旧姓のため、現在の姓が反映されず支障を来すことがあります。
CBPでは、申請者が最寄りのCBP Deferred Inspection、もしくは、Port of Entryに行き、訂正を申請するよう案内しています。今後、同様の事案の発生を回避するため、在留邦人の皆様の中で追記事項欄に結婚後の姓等を訂正した旅券を所持する方におかれては以下の取組をお勧めいたします。
■ 現有旅券が「追記事項欄」に結婚後の姓等を訂正したものである方は、入国審査の際に、入国審査官に対して「追記事項欄」を提示し、同欄も含めた情報が反映されているかを確認する。