日米桜寄贈100周年
日本で最も人気の高い花のひとつである桜は、日本からアメリカへの象徴的な贈り物でもありました。1912年、両国の友好関係を祝うため日本の東京市からワシントンDCへ3,020本の桜が贈られたことは有名です。また、ニューヨークでもワシントン寄贈用とは別に贈られ、4月28日にニューヨーク市ハドソン河畔のクレアモント公園内にあるグラント将軍墓所前で盛大な歓迎植樹式が行われ、29日に植樹されています(この土地は現在「さくらパーク」と呼ばれています)。この最初の桜が日本から贈られてから、来年(2012年)で100周年を迎えます。この記念すべき年を多くの方々でお祝いするため、桜や日本に関係行した多くのイベントが実施される予定となっています。
ニューヨークの桜の歴史
ニューヨークの桜は、1909年(明治42年)の「ハドソン・フルトン祭」(蒸気船の生みの親ロバート・フルトンがハドソン川での蒸気船テストに成功してから100年、イギリスの探検家ヘンリー・ハドソンがハドソン川を発見してから300年を記念したお祭り)の一環として、当時のニューヨークの日本人コミュニティCommittee of Japanese Residents of New Yorkが、ニューヨーク市に2,000本の桜を寄贈する計画を立てたのが始まりです。しかし、日本からの桜を積んだ蒸気船は途中航路で行方不明となり、1909年に間に合いませんでした。
その後、東京市がワシントンDCに桜を再度寄贈(ワシントンDCに最初に送られた桜は病害虫に侵され、焼却処分とされました)することを聞いたニューヨーク在留邦人日本クラブと高峰譲吉博士らは、ワシントン寄贈用の桜とは別にニューヨーク植樹用として苗木作りを興津の農事試験場に依頼しました。
1912年(明治45年)、ワシントンへの桜と同時に輸送され、3月に無事ニューヨークに到着、4月28日に植樹式が行われ、翌29日に植樹されました。
在ニューヨーク日本国総領事館管轄地域内の桜祭り
ブルックリン植物園(Brooklyn Botanic Garden)桜祭り
ブルックリン植物園の桜祭りは、2012年で31回目を迎えます。ニューヨーク市近郊では最大の桜祭りで、毎年6万人を超える来場者(2日間)が訪問します。
ブルックリン植物園は1910年に開園した植物園で、敷地内に日本庭園や桜の小道・遊歩道を有しています。同植物園の日本庭園は、塩田武雄氏設計により1915年に完成したもので、米国で一般公開された最初の日本庭園とされています。1921年に最初の桜が植樹されて以来、「関山」、「しだれ桜」、「白妙」などの30種類以上、220本の桜が楽しめます。
http://www.bbg.org/discover/cherries/
ニューヨーク日系人会主催フラッシング・メドウ・コロナパーク桜祭り
ニューヨーク日系人会(JAA)主催によるフラッシング・メドウ・コロナパークでの桜祭りは、2001年4月にJAAからニューヨーク市に168本の桜の木が寄付されたことを契機に、2003年4月に同公園管理局の協力の下で開催されたのが始まりです。
2003年、2005年、2007年と2年おきに開催し、2008年からは毎年開催となっており、2012年は8回目の開催となります。
※フラッシング・メドウ・コロナパーク:
エセックス郡ブランチ・ブルック公園(Branch Brook Park)桜祭り
エセックス郡ブランチ・ブルック公園桜祭りは、2012年で36回目を迎える歴史のある桜祭りです。ブランチ・ブルック公園には、約14種類4,000本を超える桜が植樹されています。同園は1896年にオープンした米国で最古の郡の公園とされていて、1927年には28種類2,000本の桜が寄贈されています。桜祭りは、日系米国人市民連盟(JACL)ニューヨーク支部が中心となり、ニュージャージー州及びエセックス郡とも協力して開催、期間中の参加者は毎年数千人規模となっています。
http://www.branchbrookpark.org/Park-Information.aspx
ホワイトプレーンズ桜祭り
ホワイトプレーンズ市、ニューヨーク日本人教育審議会教育文化交流センター、日本人ボランティアグループ虹の会が主催して行う桜祭り。ホワイトプレーンズ市ターナーパークで開催され、2012年は13回目の開催となります。毎年およそ1,000人が参加して、桜に加え、日本文化を楽しんでいます。
http://www.cityofwhiteplains.com/templates/template_text_right_panel.aspx?ID=Cherry Blossom Festival
フェアフィールドカウンティ日米協会桜祭り
ニューヨーク日本人学校で開催される毎年恒例の桜祭り。沖縄舞踊、太鼓、茶の湯などの日本文化を楽しみつつ桜を愛でることができます。2012年は、24回目の開催です。
ルーズベルトアイランド桜祭り
2011年3月11日の東日本大震災を受け、ルーズベルトアイランド住人協会及びルーズベルトアイランド日本人会等が協力して、本件桜祭りを企画、2011年が第1回目の開催でした。ルーズベルトアイランドは以前から桜で有名な土地となっておりまして、それを活かした事業として計画、2012年以降も継続をする予定とのことです。 http://rooseveltislander.blogspot.com/2011/05/fantastic-saturday-at-roosevelt-island.html
ロングアイランド桜祭り(ストーニーブルック大学桜祭り)
ロングアイランドにあるストーニーブルック大学で行われる桜祭りで、2012年は12回目の開催となります。毎年5月上旬に開催され、茶の湯、いけばななど日本文化紹介事業が合わせて実施されています。
http://matsuri.ryushukan.com/
フィラデルフィア桜祭り
本桜祭りは、1926年に日本政府からフィラデルフィア市に独立150周年を記念して桜の木が贈られたのがきっかけとなっています。1998年にフィラデルフィア日米協会は、1,000本の桜を新たに植樹することを計画し、毎年植樹を重ねて、2007年の10周年記念の年にその目標を達成しました。満開になったフェアマウントパークの桜は圧巻で、日本の春そのものです。桜祭り期間中には和太鼓、日本舞踊の伝統芸術、酒、寿司、茶道といった食文化、着物の着付け、映画、芸術等、日本を体験・紹介する様々なイベントが開催されます。
2012年の桜祭りは、3月23日から4月21日までの約1ヶ月間開催される予定です。
http://jasgp.org/cherryblossomfestival/
上記桜祭り以外で桜が楽しめる場所
さくらパーク
マンハッタンのアッパー・ウェスト・サイド、リバーサイド・ドライブの122丁目にある「さくら・パーク」は、その名から想像されるように、日本と関係の深い場所です。
1909年に「ハドソン・フルトン祭」が行われました。これは「蒸気船の生みの親」ロバート・フルトンがハドソン川での蒸気船のテスト運行に成功してから100年、そしてイギリス人探検家ヘンリー・ハドソンがハドソン川を発見してから300年を記念したお祭りで、ニューヨーク州各地で様々なお祝いの行事が開催されました。当時のニューヨークの日本人コミュニティCommittee of Japanese Residents of New Yorkも、その祭の一環として、ニューヨーク市に2,000本の桜の木を寄贈する計画を立て、当時クレアモント・パークと呼ばれていたこの公園に植樹する予定でした。しかし日本から桜の木を積んだ蒸気船は、途中航路で行方不明となり、1909年には間に合わず、日本から再度輸送されて、1912年、無事桜の木が植えられて「さくらパーク」と名付けられました。さくらパークの土地(約2エーカー)は、ニューヨーク市がJ・D・ロックフェラー氏から購入し、同氏の寄付金で整備された後、1934年に正式に市民に公開されました。1960年、東京とニューヨークが姉妹都市となったことを記念して、当時の皇太子妃ご夫妻(現在の天皇皇后両陛下)を迎えて、東京都より日本の石で作られた灯籠が贈られ、さくらパークの北東に建立されました。両陛下は1987年の訪米の際にも、同パークを再度訪れています。公園は1981年から再び整備され、新たに桜の木も植えられたほか、Manhattan School of Musicのための公演のステージも作られました。1986年の記念式典で、野本・在ニューヨーク総領事は、「(日本人と同様に)ニューヨーカーも、この忙しいマンハッタン島の中の落ち着いた島である、さくらパークで再び桜を楽しむことができるでしょう」と述べています。
http://www.nycgovparks.org/parks/M087/highlights/6522
セントラルパーク
さくらパーク同様、1912年に植樹が行われたのがセントラルパークです。ニューヨーク市民の憩いの場となっているセントラルパークにはたくさんの桜が植樹されています。多くは、貯水池周辺にありますが、公園内の至る所に桜が見られます。2007年から同公園内で行われているJapan Day @Central Parkでも同公園内に桜の植樹を行っています。
ニューヨーク植物園
ニューヨーク植物園には、200本以上の桜が点在していて、ビジターセンター近くにあるReflecting Pool周辺とRose Garden付近のCherry Valleyが見所となっています。
http://www.nybg.org/gardens/test_garden.php?id_gardens_collections=60
コネチカット州ミルリバーパーク
野島淳三氏が1957年に植樹した桜が起源で、現在それらの木から継木して育てられた桜の木を植樹するプロジェクトが進行しています。桜の見頃は5月上旬です。