在留邦人の皆様
平成25年8月30日
在ニューヨーク日本国総領事館
※本メールは緊急情報ではありませんが、今後、メールマガジンとして『 パークアベニュー299 』の名称で皆様に情報を発信させて頂きます。
パークアベニュー299 第2号
~領事部より~
● アメリカで生まれた子どもの国籍はどうなるの?
私たちは子どもの国籍問題、特に二重国籍について質問を受けることがあります。
アメリカは、国籍については出生地主義を採用していますので、アメリカで生まれた子は親の国籍に関係なくアメリカ国籍を取得します。そのため、父母の一方あるいは双方が日本人の子がアメリカで出生した場合、血統主義を取っている日本の国籍と同時にアメリカ国籍も取得することになります。そのため、出生届を3か月以内に届け出なければなりませんし、出生届の際に国籍留保をしないと日本国籍を持つことができません。期限内に出生届を提出し、国籍を留保すれば子どもは日米の二重国籍になります。父母の国籍によっては日米に加えそれ以上の多重国籍となることもあります。一方、日本は国籍唯一の原則があるため、二重(多重)国籍になった子どもの国籍が将来どうなるだろうか、日本国籍が剥奪されはしまいかと不安になったり、心配になるのだろうと思われます。
そこで、子どもの国籍についていろいろな不安や心配を抱えている保護者に向け、日系人会が主催するシニアウィークにおいて、9月15日(日)午後2時から3時にかけ、国籍についての説明会を行います。国籍法や日本の国会での審議などを踏まえて、国籍や国籍法について説明します。子どもの二重国籍が知られると日本国籍を剥奪されるなど不安をお持ちの方もいると思われます。質問にもお答えしますのでふるってご参加ください。申し込みは日系人会(電話212-840-6942, 6899 E-Mail:
info@jaany.org)まで。
なお、同日午後12時からシングルマザーのための国籍説明会を実施しますので、シングルマザーの方で関心がある方はこちらにもご参加ください。
● 1181人+郵便投票
7月に行われた参議院選挙の在外選挙の投票者数が公表されました。
○ 7月21日在外選挙人名簿における全有権者数 112,849人
○ 比例投票者数 25,924人(投票率22.97%)
○ 選挙区投票者数 25,456人(投票率22.56%)
この数には在外公館で投票した在外公館投票と郵便投票、帰国投票が含まれています。
このうち、当館で投票された方の総数は1181人でした。ご多忙の中、ご足労いただきありがとうございました。
さて、在外選挙の投票方法は3つあり、一つは在外公館の投票用紙記載場所で投票する在外公館投票、次に郵便で投票用紙を送付する郵便投票、そして投票期間中に日本にいる場合の帰国投票があります。
ここで郵便投票について簡単に説明します。
アメリカはとても広く、当館に限らず在外公館所在地から離れた所に居住しており、在外公館まで足を運んで投票できないという邦人の方も多くいます。また、時間の余裕がないため在外公館に行けないという場合もあるかと思います。そのような方に向けた投票方法が郵便投票です。
郵便投票は、選挙が予想される時点で投票用紙を日本の選挙管理委員会に請求し、投票用紙が送られて来たら、公示後に候補者や政党名を書いて日本の選挙管理委員会に郵送し、投票するという方法です。郵便を利用し、日米の間を1往復半の時間を要しますし、郵送料も自己負担となりますが、在外公館で投票できない方にとっては自宅で投票できるというメリットがあります。
郵便投票では選挙のかなり前から投票用紙を請求できます。選挙管理委員会に投票用紙を請求した場合、選挙管理委員会は衆議院議員選挙の場合は任期満了の60日前か解散の日のいずれか早い日、参議院通常選挙の場合は任期満了の60日前から交付を開始します。解散でもある程度の余裕をもって投票用紙を請求することができます。
なお、郵便投票をするために投票用紙を請求・受領した方であっても在外公館投票や帰国投票に切り替えることができます。投票などの詳細をお知りになりたい場合は外務省HPや当館HPをご覧ください。
当館では遠方に居住する方々のために、年に2回、各地にて一日総領事館を実施しています。この秋にはプリンストン(10月5日)、フィラデルフィア(10月12日)、バッファロー(10月19日)、ピッツバーグ(10月26日)、パラマス(NJ州)(11月2日)で一日総領事館を実施する予定です。各都市のお近くにお住まいの方はこの機会を利用し、在外選挙人登録申請をお願いします。一日総領事館で取り扱う手続きについては当館HPもしくは電話でお問い合わせください。
● 甘い誘いには要注意!
私たちは毎日さまざまな相談に乗っています。その中で比較的多いのは,自分は詐欺被害にあっているのではないかという相談です。詐欺とは,「他人を騙してとったり,瑕疵(かし)ある意思表示をさせたりする行為」(広辞苑)であり,特に海外に住む私たちの生活の中には,そのような被害に遭う危険性が多く存在します。
当館ではこれまでにも各種詐欺に関する注意喚起を当館ホームページや緊急メールなどでお知らせしておりますが,最近相談を受けた一例を以下のとおり紹介します。
※滞在資格取得に便宜を図るとして投資話を持ちかけられたケース
留学生Aさんは滞在期限が迫ってきているものの,今後も引き続き仕事をしてニューヨークに滞在したいと考えていました。それを知った知人のBは「自分の関連企業に投資すれば滞在資格が取れる。移民法に強い弁護士を知っているし,これまでにも他の日本人で同じように滞在資格を取った人が何人もいる」として,Aさんに数千ドルを投資するよう持ちかけました。
AさんとBは1年程度の交流があり,AさんはBをある程度信頼していましたので,そのBが持ちかけた話でもあるし,ニューヨークに引き続き滞在できるのであればと思い,Bから指定された金額を渡しました。
しかしながら,その後,Aさんが滞在資格の手続きの話をするとBは「今弁護士に手続きしてもらっている」,「いろいろと手続きに時間がかかっているようだ」などと言っていましたが,Aさんの留学生の滞在期限が切れ,帰国しなければならなくなりました。
Aさんは帰国前にBに対して「滞在資格が取れなかったので,投資した金を返してほしい」と求めましたが,Bは「弁護士も一生懸命動いてくれたのに滞在資格がもらえなかったのは残念だ。手続きに落ち度はなかったが移民局が判断することなので致し方ない。日本に帰ってからもビザ申請の時には手伝う」と言い,返金には応じませんでした。
Aさんは,日本に帰国した後もBの支援はなく,Aさんがビザを取得することはありませんでした。投資したお金が回収できなかったことは言うまでもありません。
このような事例に巻き込まれてしまった場合,日本に帰国した後に米国で法的に支払った金の返還請求することは非常に困難です。一方,当地においては,滞在資格に便宜を図ることへの見返りに投資させることは考えられず,何らかの悪意があるものと考えられますので,詐欺被害として刑事的に立件することは可能と思われます。不審に思った場合には,すぐに警察や検事局(District Attorney's Office)にご相談ください。また,返還請求の民事訴訟を起こす場合,裁判費用と被害額との費用対効果を考え,被害額が5千ドル以内の場合には,少額裁判制度(Small Claims Court)を利用して返還請求することができます。
詐欺の加害者は,相手の弱みを見つけて近寄ってくるものです。ご本人にとっては望みがかなうが,多額の金銭を伴うような誘いを持ちかけられた場合には,安易に応じることなく,必ず家族や信頼のおける友人にも相談の上,慎重にご判断ください。また,当館領事部(邦人援護担当)に相談いただいた場合は,当事者と話しながら,対処方法を見いだすお手伝いをしますので,お気軽にご連絡ください。
● お礼と報告
7月末にニューヨークで行方不明になった日本の高校生について、このメール網を通じて在留邦人の皆様に情報提供をお願いしました。
幸いにもメールを読んだ方の一人が当館のHPで本人の写真を見て、タイムズスクエアの駅にいた本人を発見し当館に連絡いただいたことから、メール発信後数時間で無事に保護することができました。皆様のご協力に心から感謝申し上げます。
今後ともこのようなお願いをすることもあろうかと思いますので、その際にはよろしくお願い致します。
● 第7回シニア・ウイーク
日系人会、邦人・日系人高齢者問題協議会(JAA)、邦人医療支援ネットワーク(JAMSNET)の共催で9月13日から29日までの間、第7回シニア・ウィークが開かれます。詳細については次のHPをご覧のうえ、是非ご参加ください。
www.agingjaa.org