平成25年 秋の叙勲について
旭日双光章
フェリス・フィッシャー ( Felice Fischer )
フィラデルフィア美術館 日本美術キュレーター / 東アジア美術部長
1.主要経歴
1967 コロンビア大学東アジア言語文化学修士号取得
1972 コロンビア大学東アジア言語文化学博士号取得
1972- フィラデルフィア美術館学芸員
1974- フィラデルフィア美術館アシスタント・キュレーター
1987- フィラデルフィア美術館アソシエイト・キュレーター
1992- フィラデルフィア美術館キュレーター
1994- フィラデルフィア日米協会理事
1995 展示会カタログ「Japanese Design: A Survey Since 1950」で北米
図書館協会George Wittenborn Award受賞
1996- フィラデルフィア美術館日本美術キュレーター及び東アジア美術部長
2001- フィラデルフィア美術館日本美術シニアキュレーター及び東アジア美術部長
2.功績概要
フェリス・フィッシャー氏は、多くの日本コレクションを有するフィラデルフィア美術館の日本美術キュレーター及び東アジア美術部長を務める。フィラデルフィア美術館は、米国でも随一、20万点以上のコレクションをほこり、200以上のギャラリースペースにてアジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカを含む米国内といった各地域から絵画、彫刻、写真、テキスタイル、建築関係など数多くの作品を展示する。同美術館の日本コレクションとしては、池大雅の墨梅図や狩野芳崖の飛龍戯児図などがあり、さらに館内には茶室「寸暇楽」も設置されている。
フィッシャー氏は、バーナード大学を卒業後、コロンビア大学東アジア学部で特に日本古典文学を学んだ。その後、1972年からフィラデルフィア美術館に勤務し、数々の展示会を手がける。1994年には、「Japanese Design: A Survey Since 1950」プロジェクトを共同で手がけ、英語のほかドイツ語、イタリア語、フランス語、日本語に翻訳された同プロジェクトのカタログの共著者でもあった。
同美術館での活動に加え、フィッシャー氏は日本国内でも京都国立美術館の国際アドバイザリーパネルのメンバーや東京国立美術館のキュレーション担当も務めている。さらに、美術関係に限らず、地域活動として、フィラデルフィア日米協会の理事としても積極的に活動している。同氏が手がけた日本美術に関する特別展としては、近年では本阿弥光悦展(2000年)、池大雅展(2009年)があり、展示会だけでなくカタログの監修を務めいずれも成功に導いている。
さらに、近年、国際交流基金主催による「米国における日本美術シンポジウム」(2009年)やカルコン・SAIS合同シンポジウム「日米パートナーシップの深化:変貌する世界に於ける教育と文化の絆」におけるパネルⅢ「ソフトパワーとしての芸術」のパネリスト(2011年)も務めるなど、積極的な発信も数多く行っており、美術を通じた日米文化交流に多大な貢献を果たしている。