最近,邦人の方から地域情報コミュニティサイトを通じたアパート賃貸契約詐欺被害及び個人情報詐取犯によるなりすまし賃貸契約に関する報告がありました。事案概要は以下のとおりです。各自の安全対策に役立てて頂くようお願いいたします。
米国では,夏は転居シーズンにあたりアパート探しをされる方が多くいらっしゃいます。夏季休暇を利用した部屋の短期貸し出し(サブレット)なども見られます。知らない相手との(特に個人間での)賃貸契約に際しては,信頼できる相手かをよく見て慎重に対応するようにしてください。また,賃貸内容(家賃が相場に比して極端に安い等)に不自然な点がないかを確認することも重要です。また,ルームシェアをされる方は,個人情報の管理にも十分用心して下さい。
1 地域情報コミュニティサイトで見つけたアパート契約詐欺被害
■30代女性 ニューヨーク留学を目指す短期渡航者
地域情報コミュニティサイトCraigslistで見つけたマンハッタン区ウェストビレッジのアパートの貸主(ロンドン在住と称する)と2ヶ月半の賃貸契約を行った。契約書を交わした後,身元確認のためクレジットカード情報と旅券(パスポート)コピーを求められたのでメールで送付した。家賃振込を確認後,鍵を渡すとの契約であったので,ウエスタンユニオンでデポジット及び全額家賃を振り込んだが(振込先ベナン),貸主からは一向に鍵が送付されない。不審に思い,当該アパートを訪ねたところ全くの別人が住んでおり,賃貸契約を装い現金をだまし取られたことに気づいた。被害額1,750ドル。
■20代女性 短期留学と観光の短期渡航者
地域情報コミュニティサイトCraigslistで見つけたマンハッタン区アッパーイーストサイドのアパートのルームシェア物件のオーナーと称する米国人女と3ヶ月の賃貸契約を行った。女からは旅券情報が送られてきて信用した。デポジット及び初月家賃を指定されたフロリダ州内の銀行へ振込み後,連絡が取れなくなった。入居開始日,部屋の鍵受取のため指定の時刻にアパート前で待機していたが女は現れなかった。被害額1,700ドル。
連邦取引委員会(Federal Trade Commission(FTC))では,これらの賃貸契約詐欺の特徴として以下を挙げています。物件探し中に以下の話が合った場合には,詐欺物件の可能性があります。
・電信送金を要求する(一度送ったお金は二度と戻ってきません!)。
・物件見学前や賃貸契約成立前にデポジットや初月家賃を要求する。
・(貸主が)「外国にいる」と言う。
この手の犯罪被害に遭わないために,
○取引相手は,地元の貸主に絞る。
○支払い方法が電信送金のみに限定されているときは警戒する。
○物件見学前や貸主と実際に会う前までは前金を支払わない。
○電子メールのやりとりが稚拙な英語や片言英語の場合は注意する。
○提示された家賃が異常に安い場合には,当該地域の家賃相場を調査する。
○ソーシャルセキュリティ番号,銀行口座情報,クレジットカード情報等の個人情報を渡さない。
2 元ルームメイトの個人情報を盗んでなりすましアパート契約
■30代女性 当地在留邦人
当地不動産会社から在留邦人Aさんに電話があり「ある女がAさんに成りすましてアパート賃貸契約し,最終家賃未払いのまま姿を消した」との連絡があった。女は賃貸契約時にAさんの旅券情報や戸籍謄本記載情報(本籍地番,父の氏名等)を使い契約していた。女の特徴を確認したところ,犯人は,以前ハーレムのアパートで1週間ほどルームメイトであったXと思われ,同居中にAさんの旅券のコピーや複数通持っていた戸籍謄本が盗まれた可能性が高いことが分かった。
共同生活を送るときには,旅券,戸籍謄本,運転免許証,クレジットカード,ソーシャルセキュリティ番号等は他人の目に触れない場所に管理することを心がけて下さい。また,請求書,銀行口座ステートメント等個人情報の掲載された書類を捨てるときは,細かく破いて捨てるかシュレッダーにかけることを習慣づけるようにしましょう。
不幸にもこれらの詐欺被害に遭ってしまった場合には,管轄警察署への届出及び連邦取引委員会(FTC)ホームページより被害報告を行って下さい。
FTC Complaint Assistant www.ftccomplaintassistant.gov
皆様からの情報や体験をお寄せ頂くことが当館から在留邦人の皆様へ発信する「生きた」安全情報となり,在留邦人の安全確保に繋がります。事件・事故・トラブル等に巻き込まれた場合には,警察等関係当局への通報と併せ,当館領事部(邦人援護担当212-371-8222 電子メールryoji@ny.mofa.go.jp)までご連絡願います。