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川村泰久首席領事 在ニューヨーク日本国総領事館
「震災後の日米関係」 (於:ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校)
    川村 泰久 首席領事
平成23年12月6日(火曜日)
概要:
I.東日本大震災後の日本
  1.2011年の大震災は日本にとって何百年に一度の大災害でありましたが、日本には世界から常に支援の手が差し伸べられました。特にNYの米国人の皆様、ストーニーブルック大学の学生、関係者の方々からも多大なご支援をいただき厚く御礼申し上げます。震災の一週間後、NJ州在住の米国人の少女が総領事館持ち込んだ絵には「We are with you」と書かれていました(写真1)が、これは何よりも米国の人々の気持ちを体言していたと思われ、日本人に勇気を与えてくれました。東北の被災地の人々は困難の中から短期間で立ち上がり、悲しみに耐えて頑張ってきました。これには米国を初めとする世界中からの支援があったからこそ可能でした。被災地はまだ十分な回復ではありませんが、人々は感謝の気持ちでいっぱいであり、本日はまずは「ありがとう」の気持ちを外務省・日本総領事館を代表して皆さんにお伝えしたいと思います。
2.駐留米軍も「トモダチ」作戦を大規模に展開して東北被災地と人々を大いに支援してくれました。ただ今上映した映像にもありましたように、困難な時であるからこそ日米が友情の「絆」で結ばれていることがより痛感されました。
3.震災後9ヶ月を経て、依然として困難は残っているものの、同時に急速な回復も果たしてきています。これら回復状況についていくつか例示をあげたいと思います。震災後1週間後に家を失った避難者は38.7万人でしたが、避難所にいる人々は徐々に減り、9月時点で避難所で生活を続けている人は800人程度に減少しました。GDP成長率は2011年はマイナス0.5%ですが来年は復興需要の押し上げで2.3%の伸びが見込まれています。また震災直後サプライチェーンの分断の米国経済への影響が問題となりましたが、日本からの部品供給の回復により米国の自動車生産指数はほぼ震災前の水準に戻っています。交通インフラについても、日本の東北地方の高速道路、新幹線、電気供給などは6月中旬までにほぼ100%回復しています。
4.福島第一原発の問題は、依然として課題が多い状態ですが、工程表に沿った事態収束に向けて全面的な努力が傾注されています。特に原子炉の冷温停止状態を年内に達成することが望まれています。原子炉から放出される放射線量は事故当初から大きく減少し、緊急時避難準備区域も解除に至っています。同時に地域の除染を徹底的に進めていくことが急務です。他方で、東京、大阪、京都といった都市の大気中の放射線レベルは震災前とほぼ変わらない状態であり、主要国の首都と比べてもほぼ同水準かそれよりも低い状態になっています。クリントン国務長官が訪日時に言われたとおり、日本は「営業中」です。今や震災前の7割の水準まで戻った訪日米国人ビジネスマン皆さんのさらなる回帰を心から望んでいます。 他方で、最近の世論調査で日本国民の多くが原子力発電について不安を持っているという結果も出ています。野田佳彦総理は10月、国会での所信表明演説で「原子力への依存を最大限減らし、国民が安心できるエネルギー構成を実現するためのエネルギー戦略の見直しなど、中長期的国家ビジョンを具体化していく」と表明しました。
5.今後の復興と回復にとり、さらに勇気づけられる最近の出来事として、 (1)外国からの訪日者数の回復傾向、(2)東京スカイツリーの震災後の完成とタワーとして世界一のギネス認定を受けたこと、さらに (3)第3次補正予算の成立があげられます。
II.日米同盟とアジア太平洋 震災を受けたからといって激動し日々成長するアジア太平洋は日本を待ってはくれません。このような政治経済情勢の下、日本としてアジア太平洋外交の基本理念と外交の考え方を明確にする必要があります。
1.21世紀はアジア太平洋の世紀であり、同地域は今後とも世界経済の成長センターとして期待されています(例:2030年には日米中のGDPは世界の4割を占めるとの予想。)アジア太平洋地域は、市場経済主義に依拠して今後も成長を継続していくことが一般的に期待されていますが、日本としては、法の支配、民主主義、基本的人権などのグローバルコモンズを確固たるものとすることで健全な経済社会成長が持続することを国益と考えています。
2.アジア太平洋地域は成長センターではあるものの、同時に不安定性も内包しています。北朝鮮の核開発、大量破壊兵器の保有、日本人の拉致問題、昨年の韓国に対する攻撃などの瀬戸際政策は懸念材料であり、また地域内の諸国が不透明な形で軍事支出を大幅に増大させていることにも注意が必要です。
3.日米同盟が冷戦期を通じて今日までアジア太平洋安定と発展の礎であったことは歴史が証明しています。日米同盟は今年(2011年)50周年を迎えており、グローバルな課題にも対応できるような「深化」が必要です。また同盟が地域の諸課題に引き続き柔軟に対応していくことができるよう、沖縄の負担軽減を得て普天間問題に適切に対応していく必要があります。
4.日本は反テロの国際的行動にも貢献しており、アフガニスタンやパキスタンや近辺で、洋上給油、小学校建設、ワクチン供与などを精力的に実施してきた他、ソマリア沖での海賊対応でも自衛隊艦船を派遣しています。因みに対アフガニスタン支援表明額は、米国についで第2位です。アジア太平洋の将来は基本的に大きな機会を提供してくれるはずですが、日米同盟を引き続き基軸にして、ナショナリズム昂揚を引き金とした短期的なクライシスに対応していく必要があると思われます。
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