在留邦人の皆様
平成26年5月16日
在ニューヨーク日本国総領事館
※本メールは緊急情報ではありませんが,総領事館からのメールマガジンとして『パークアベニュー299』の名称で皆様に情報を発信しています。
パークアベニュー299 第9号
~領事部より~
● 不法な子供の連れ去りを防止するハーグ条約説明会(大谷弁護士)
4月14日,ニューヨーク日系人会にて大谷美紀子弁護士によるハーグ条約説明会が開催されました。
説明会の中で特に印象に残っているのが,「リロケーション」についてです。「リロケーション」とは子供の移動のことで,アメリカでは離婚後も基本的に共同親権であり,子供の移動,特に国境をまたぐ移動については父母どちらか一方だけでは決められず,仮に離婚裁判で身上監護権を獲得したとしても,一時的にせよ子供を連れて日本に帰る場合には他方の親の承認か,もしくは裁判所の許可が必要ということでした。
棚瀬一代著「離婚と子ども」によれば,アメリカでは古くから非監護親(日常的に子の養育に携わっていない親)には「相当な面接交渉権」というものが非常に強い法的な権利として与えられていたとありますし,アメリカでの実証研究により,離婚家族の子への聞き取り調査をした結果として,両親が離婚した後の子どもと両親との頻繁かつ継続的な接触の重要性,特に子どもの精神的な健康にとって父親と良い関係を継続することの決定的な重要性が指摘されています。
このような考えのもと,裁判所では離婚後も親子関係が継続できるような地理的環境を求めることが考えられるというのが「リロケーション」の重要な点のようです。遠く離れてしまえば親子の関係が継続できないとして,遠くに行くことを認めないか,あるいは残される方の親の承認が必要という考えではないかと思われます。
離婚後はアメリカでは基本的に共同親権ですが,日本では離婚後は単独親権となり,多くの場合は母親が親権を獲得するなど日米には大きな違いがあります。このような日米の離婚後の親権制度の違いについては9割近い方が知っているとの調査もありますが(ロヨラ大学岩崎美智子博士調査),子どもたちと一緒に生活し,監護する権利は付与されても,移動についての権利は共同のものとなるなど,親権の内容をきちんと確認しておく必要があるかもしれません。
ハーグ条約について,テレビジャパンでも紹介されましたのでご覧ください。
● 安全対策の意識の持ち方
ニューヨークの地下鉄は安全になったと言われています。そのせいでしょうか,当館のHPのニューヨーク安全対策情報にも掲載しましたが,1月と3月に地下鉄の中で居眠りしていてスリに遭ったり,置き引きの被害が発生しているとのことです。安全になったとはいえ,居眠りは危険な行為と思われます。身近に危険は潜んでいますので,普段からの注意が必要です。
また,旅行などで遠くに行く際,目的地の治安情報などは確認されているでしょうか。住んでいる土地の安全情報などは目にする機会も多いことでしょうが,旅先の情報は忘れがちです。大使館や総領事館では管轄地の大きな都市の安全対策情報などをHPに掲載していますので,旅行の際にはよく読んでいただき、ご注意ください。
なお,旅行に出たときだけ安全意識を高めても,ついついいつもの行動をとり,結果的に防犯には役に立たなかったということがあります。例えば、車の中に荷物は置かないようにする,置く場合でもトランクルームなどすぐには見えないような場所にする,さらにはしまうところを他人に見られないようにするといった,車上荒らしの対策がありますが,このような対策は常日頃から行っていないと,旅先だからといって急にはできないことがあります。ついつい近所に行くような感覚で見えるところに置いたりしますので,気をつけたいものです。
防犯は常に意識し,日常的に行動に取り入れることができるようになることが目標です。
● 母子手帳(親子健康手帳)の配布のご案内
今般,一般社団法人 親子健康手帳普及協会より,海外に居住される邦人の妊婦の皆様へ母子手帳(親子健康手帳)を無償にて提供したい旨外務省に申し出があり,当館においても当館管轄地域に在留する対象者の皆様に配布することになりました。
詳しくは,当館ホームページをご覧ください。
● 当館休館日のお知らせ(2014年5月~12月)
5月26日(月) メモリアル・デー
7月 4日(金) 独立記念日
9月 1日(月) レイバー・デー
10月13日(月) コロンバス・デー
11月11日(火) ベテランズ・デー
11月27日(木) 感謝祭
11月28日(金) 感謝祭休暇
12月25日(木) クリスマス
12月29日(月) 日本の行政機関の休日
12月30日(火) 同上
12月31日(水) 同上