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3. 防犯・安全対策(具体的な注意事項)

当地で生活する上で必要な防犯・安全対策は以下のとおりです。

(1)住 居

住居の選定
地域の治安状況等を慎重に見極めてください。 一般的に次のような地域や物件は避けましょう。
道路にゴミが散らかっている、壁に落書きが多い地域
● 商店などが鉄格子で厳重に防御されている地域
● 昼間なのに大人が所在なさそうにたむろしている地域
● 庭の手入れが悪い家が多い地域
● 外部からの死角が多い物件(表通りから見えない家、出入口が樹木に覆われている等)
● 夜間、周辺の照明が十分でない物件

また、アパートの場合、侵入箇所が制限されるという利点がある一方、侵入されてしまうと、外から隔離された密室になるという欠点もあるため、以下の点を事前に確認した上で、警報装置の設置等の警備強化について、家主と契約前に交渉しましょう。
● 他の入居者の状況
● ガードマン等セキュリティの有無
● 玄関・ガレージ等の出入規制要領
● 玄関扉や通用扉の施錠設備
● 過去の治安関連事件の有無等
● 介在する不動産業者や家主の信頼性

インターネットの掲示板などを通じてオンラインで住居契約を行う場合は、詐欺ではないか十分注意しながら取引を行う必要があります。送金先が国外や州外であったり、国際送金サービスでの送金を要求されるなど怪しいと感じた場合には、一度取引を中断し、周りに相談するなど冷静に対応してください。

住居の防犯対策
入居後は以下の点に注意しましょう。
● 新しい住居に移り住んだら、隣人やカードマンと努めて親しくし、困った時に相談できるよう、良好な関係を築いておく。
● ドア・窓の施錠は毎回確実に行う。
● インターホンが鳴ってもすぐにドアを開けず、ドアスコープなどで相手を確認する。ドアを開ける際にはドアチェーンを付けたまま開け、要件を確認する。(身に覚えのない工事関係者や宅配業者の場合は開けない)。
● 住居への出入りやエレベーターに乗る前には、不審な人物がいないか、安全を確認する。
●(場合によっては)防犯カメラやセンサーライトを設置する。
● 家の鍵をポストの中、フロアマットの下などに隠さない。
● 郵便物や宅配の段ボールなどの、宛名や住所が書かれたラベルは、その箇所を細断して廃棄する。
● 敷地内(自宅外の庭など)に梯子や金槌などを放置しない(使用後は収納する)。
● 緊急時に備えて911以外にも所轄の警察署、家族や友人の連絡先を控えておく。
● 強盗が押し入ってきた際は、抵抗せずに犯人の要求に従い、安全を確認してから警察に通報する。

(2)外 出 時

犯罪者は常にチャンスをうかがい、ターゲットを絞っていることを意識してください。
● 危険といわれている地域や場所には、昼間であっても近づかない。
● 深夜や早朝の独り歩き、ジョギング、地下鉄の利用はなるべく避ける。
● 周囲に不審な人物がいないか常に警戒しながら行動する。故意にぶつかりコインやワインボトルを落としたり、メガネやサングラスを壊されたとして弁償を強要するなどの恐喝は相手にせず、速やかにその場から立ち去る。
● 多額の現金は持ち歩かない。現金は、複数のポケットや財布に分散して持つ。また、人前で現金や貴重品を見せない。
● 親しげに話しかけてくる者には警戒する。あたかも無料で物品を配布しているような素振りを見せ、受け取ると、法外な金額を請求する詐欺まがいの事案もあるため、配布物はなるべく受け取らない。
● 警察官を装って近づく犯罪者もいるため、不審に思ったらIDを提示するよう要求し、IDの内容をメモする。また、場合によりその場で警察に電話して確認する。
● 尾行されていると感じた際には、レストランなど人が沢山いる店に入り、警察へ通報する。
● 椅子に座る際は、荷物を背もたれにかけず、手の届く範囲に置いておく。
● 強盗に襲われた場合は抵抗せず、なるべく犯人を直視しない。犯人に武器を取り出すと誤解されるような行動は避け、あらかじめ強盗対策用として20ドル位をポケット等に入れておき、その現金の位置を示し、犯人に取り出させるようにする。

(3)ホ テ ル

● スリ・置き引きに遭わないよう、チェックイン・チェックアウトの手続き中も貴重品は肌身離さず持ち、足元の荷物は両足でしっかり挟む。
● 貴重品はセーフティボックスに預ける(室内に置いたまま外出しない。)。
● ドアは常に鍵だけでなくドアチェーンをかける。壊れている場合は修理または部屋を代えてもらう。
● ノックされても不用意にドアを開けず、必ず相手を確かめ、要件を確認する。要件が不明、または不審な点がある場合にはフロントに電話して確認する。

(4)空 港

● 空港制限区域内のバゲージ・クレームでも、手荷物に十分注意し、自身から離れたところに放置しない。
● 移動手段に困った場合には、各ターミナルの到着ロビーにある「Welcome Center」(地上交通案内所)に相談する。
● 無許可営業タクシー(白タク)の被害に遭わぬよう、「タクシー」、「スーパーシャトル」等と言って近づいてくる者には警戒し、空港内の決められた正規の乗り場から乗車する。

(5)地 下 鉄

地下鉄車内や駅構内における暴行事案やホームからの突き落とし事案などが発生していますので、地下鉄を利用する際は以下の点に注意してください。
● 単独での地下鉄利用はできるだけ避け、特に夜間は利用者の少ない駅には近づかない。
● 背後から不意の攻撃を受けないよう、ホームでは駅職員から見える位置、または壁際やMTAのサインボード近くに立つ。また、線路に突き落とされないよう、ホームの端には立たない。ホームでは携帯電話等の操作に集中しない
● 人の少ない車両に乗車する際は、乗務員の有無や乗車している者の様子などを確認して、不審な人物等を確認した場合は車両を移動する。
● 絶対に寝ない(隙を見せない)。
● ドアの近くに立たない(ドアが閉まる間際に携帯電話等を盗られる事例あり。)。
● 混雑時は荷物を自身の前で抱えるように持つ(スリ対策)。
● 窃盗犯は複数人で犯行に及ぶケースがあることを意識し(一人が気を逸らし、もう一人がその隙に盗む等)、見知らぬ者から話しかけられても相手にしない
● 宝飾品や現金を他人に見られないよう注意する。

(6)バ ス

● なるべく前方の座席(運転手の近く)に座る。
● 不審な人物等から話しかけられた場合は相手にせず、運転手の近くに移る。
● 不審な人物が乗り込んできた場合は、(人通りのある安全なエリアであれば)次のバス停で下車する。
● 混雑時は荷物を自身の前で抱えるように持つ(スリ対策)。
● 絶対に寝ない(隙を見せない)。
● 宝飾品や現金を他人に見られないよう注意する。

(7)自 動 車

● 駐車は安全な場所を選び、特に夜間は明るい場所に駐車する。路上駐車は出来るだけ避ける。 
● 車の乗降時には、周囲に不審な人物がいないか確認する。
● 短時間であっても、駐停車の際は必ずドアをロックし、貴重品は外から見える場所に絶対に放置しない。
● 車外からのひったくりや信号持ちの間に強盗が助手席へ乗り込むことを防ぐため、走行中はドアを必ずロックし、窓もなるべく開けない。
● 誰かに尾行されていると感じたら、警察署や人通りの多い場所へ避難する。よく通る道では、警察署、消防署、有人ガソリンスタンドのような安全に逃げ込める場所を予め把握しておく。
● 見知らぬ者に停止を求められても基本的には応じない。(治安当局の検問には従う)
● 走行中のエンスト等のトラブルを避けるため、車は常に点検し、燃料の補給も忘れずに行う。車で遠出する場合には、訪問先のガソリンスタンドの場所を予め確認しておく。

(8)詐 欺

詐欺は近年巧妙化しており、当館にも複数の被害報告が寄せられています。最近では、銀行員、警察官、税関職員、総領事館職員を装った者による詐欺事案が増加しています。不審な電話がかかってきた際には、決して相手の言いなりにならず、お金の話をされたら、一旦電話を切って家族や知人など周りの人や警察に相談するなど、慎重な対応を心がけてください。 なお、不審電話を受けた場合や、万が一、金銭や個人情報を提供してしまった場合には、直ちに警察へ通報・相談の上、当館にもご連絡ください。

犯人の役回り
警察官、税関職員、総領事館職員、銀行員など(英語の場合と日本語の場合があります)。

犯行の手口
①「あなたのクレジットカードを使って武器が購入された」、「マネーロンダリングに加担した疑いがある」、「日本宛の郵便物の中に違法薬物が入っていた」などと主張し、逮捕や強制送還を示唆して脅してきます。
② 一緒に無実を証明しようなどと寄り添う姿勢を見せます。
③ 会話の途中で電話は別の者に転送され(別の警察署や東京空港税関、銀行の担当上司など)、ビデオ通話で尋問され、巧妙に個人情報を聞き出します。
④ 最終的に保釈金などと称して金銭を騙し取ります。

対 応 策
① 不審な電話を受けた場合は、話の途中であっても電話を切る。
② 電話の相手(犯人)が名乗った先(警察署、銀行、総領事館等)に直接電話をかけて、事実関係を確認する。(その際、着信画面に表示されている電話番号は信用しない。表示番号が偽装されているケースもあるので、そのままコールバックしない。)
③ 相手(犯人)から要求されても、金銭(銀行送金等)や個人情報(クレジットカード番号やソーシャル・セキュリティ番号等)を絶対に提供しない。
④ SNSなどインターネット上に自身の個人情報を不用意に掲載(一般公開)しない。

詐欺グループは、実在する警察署等の電話番号の偽装表示や、偽物の警察IDなどを見せ、被害者を信用させようとする巧妙な手口を用いています。

具体的な事例や対策は、以下の当館ホームページで詳しく説明していますのでご確認ください。

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