在外公館長(総領事)表彰受賞者
尾崎 敏(Ozaki Satoshi)
米国ブルックヘブン国立研究所所長シニアアドバイザー
1.主要経歴
1955- 大阪大学理学部物理学研究科修士課程終了
1959- マサチューセッツ工科大学(物理学Ph.D)
1959- ブルックヘブン国立研究所(助手→助教授→教授)
1972- ブルックヘブン国立研究所主任研究員(専任教授〔終身在職権〕)
1981- 文部省高エネルギー物理学研究所教授、物理学研究系主幹
1983- 文部省高エネルギー物理学研究所教授トリスタン計画推進部研究総主幹
1987- 文部省高エネルギー物理学研究所加速器研究系主幹
1989- ブルックヘブン国立研究所重イオン加速器(RHIC) プロジェクトディレクター
1990- 文部省高エネルギー物理学研究所名誉教授
2005- ブルックヘブン国立研究所NSLS-II プロジェクト加速器システム部長
2007- ブルックヘブン国立研究所NSLS-IIプロジェクトシニアプロジェクトアドバイザー
2010- ブルックヘブン国立研究所所長シニアアドバイザー (現在に至る)
2.功績概要
尾崎氏は、1981年に高エネルギー物理学研究所(現、高エネルギー加速器研究機構)において、我が国で最初の大型高エネルギー衝突型加速器であるトリスタンの建設という500億円規模のプロジェクトを指揮し、新しい重粒子の発見を目指した。更に日本に於ける高エネルギー物理学実験研究の国際化を計り近隣アジア諸国の研究者がトリスタンでの研究に参加する途を開いた。また、1989年から米国ブルックヘブン国立研究所において、相対論的重イオン衝突型加速器(RHIC)のための開発と建設を10年以上にわたり指揮、世界中から千人もの物理学者がRHICでの実験を行い、重イオンとして知られる物質を構成する粒子を非常に高いエネルギーで正面衝突させ、ビッグバン直後の数十百万分の一秒に存在していた物質の状態を研究するなど、尾崎氏が手がけたRHICは、物理学における粒子研究に多大な貢献を果たしてきた。
日米両国での基礎科学の大型実験を実現させるための加速器の設計と建設、そして国際協力の推進に対する同氏の功績は明らかであるとともに、1979年に始まった、基礎科学のために日本が進めてきた我が国最大級の国際共同研究事業である高エネルギー物理学における「日米科学技術協力事業」において、日米の高エネルギー分野の実質的調整役,プロモーターとして活躍、日米両国の科学技術交流における対日理解の増進と対日イメージのアップに寄与し、両国の友好親善の深化に大きく貢献。