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海外安全対策連絡協議会(第26回)

2008年11月13日

安全対策協議会とは
当地の治安やテロ情勢及び邦人の安全対策等について情報交換を行うため設置され、当地日系団体、日系メディア、旅行業界など関係者が参加して、定期的に会合が開催されています。

沼田首席領事開会挨拶

 冒頭、沼田首席領事より開会の挨拶がありました。

  1. 昨年もこの会議を開催し、約1年が経ちましたが、この1年の間にいろいろと世の中が変わりました。1年前は予想もしていなかった金融・経済危機が津波のように襲いかかってきており、実態経済にまで影響を及ぼし、失業率が6.5%を超えたと聞いております。不安だらけの社会という状況になりつつあります。
  2. 他方で目を転じると長い大統領選挙が終わり、変革を唱えるオバマ氏が新しい大統領に選ばれ、来年の1月に就任することとなっています。変革と希望がオバマ氏に与えられた任務ではありますが、この経済不況、社会的混乱を収めるための政策というのは一朝一夕でできるものではないと思いますし、オバマ氏本人も認めています。
  3. 私は、毎朝、自宅から事務所まで50分ほどかけて歩いていますが、去年までは同じ場所にずっと座っているホームレスが3人いました。最近ホームレスの数が増えてきた上、フラフラと歩き回っている人が増えたという感じを受けています。経済が悪くなれば、警察官の採用を減らすということもあり得、私たちに直接関係のある治安環境が悪化していく可能性もあるのかという気もしています。
  4. 本日は、私どもの方から治安の状況等につき説明しますが、このような時期だからこそ、このような会議を開催するのは理にかなっているのではないかと思います。皆様からも改善点等につき活発なご意見を頂けるよう期待しています。

当地治安情勢・テロ情報

当館警備担当領事より、当地治安情勢・テロ情報に関する説明がありました。

  1. まず、治安情勢ですが、ニューヨーク市警の発表によりますと、本年の全体の犯罪発生件数は、昨年と比較して3.47%減となっています。主要な殺人、強盗、強姦、侵入、窃盗等の7罪種につきましては、殺人のみは8%増えているが、その他は減少しているという状況です。近年の犯罪発生状況と比較してみますと1990年の約4分の1、1998年の約半分となっており、大きく改善されていると言えます。警察力の強化等の政策が功を奏していると思われます。しかしながら、東京と比較してみますと、殺人は7倍、強盗に至っては30倍以上となっており、非常に高い水準で発生しています。
  2. 経済が悪くなると窃盗等の金銭に絡む犯罪が増える傾向にあります。また、米国では合法的に銃器が出回っており、銃器を用いた犯罪が多く発生しています。皆様におかれても日本とは根本的に異なる国であるという認識を新たにして頂ければと思います。新しく赴任した方等が住居を選択する際には、家賃が安いということを優先するのではなく、安全を第一に考えて頂きたいと思います。自分の身が自分で守るという意識を持って頂くことが重要です。
  3. 日本人が被害となった犯罪としては、観光客がスリや置き引きの被害に遭うということが多くありますが、在留邦人の方でも生活に慣れてきた頃に深夜の地下鉄で強盗被害に遭ったり、危険と言われている地域に立ち入って何らかの犯罪被害に遭っているケースがあります。被害に遭うべくして遭うという傾向が見られますので、今一度意識を新たにして頂ければと思います。今後年末年始にかけていろいろとイベントがあり、人混みの中を歩くような機会も増えると思いますので、周囲に注意を払って頂ければと思います。
  4. 続きましてテロについて説明したいと思います。アメリカをめぐる情勢は、イラク、アフガニスタンやイスラム諸国からの反発を受けており、芳しいとは言えないものがあり、楽観視できない状況にあります。ニューヨークはアメリカを象徴する都市であり、他の都市と比べテロの脅威が高いと考えています。国土安全保障省もニューヨークについては、他の都市よりも一段階高いオレンジというランクをつけています。今年の3月にはタイムズスクエアーにおいて爆発事件が発生しましたし、2005年5月にはイギリス総領事館が入居しているビルで爆弾テロがあり、2007年10月にもメキシコ総領事館が入居しているビルで爆弾テロが発生しております。小規模とはいえ発生しており、犯人も逮捕されておりませんので、今後も同様の事案が発生するのではないかと懸念されるところです。 今後とも十分気をつけて頂ければと思います。

最近の邦人被害事案の傾向について

当館邦人援護担当領事より最近の邦人被害事案の傾向と対策について説明がありました。

当館邦人援護担当領事より、最近の邦人被害事案2件につき、実際に被害に遭った際の模様を再現し、原因及び対策等につき説明がありました。

事例1:
夜間、ペンステーション付近の大通りで、酔って歩行していた日本人男性が、ぶつかってきた男にサングラスを壊したと脅され、金品を強奪されたという事案を再現しました。
  1. このようなケースに突然出くわした場合、うまく対処できるでしょうか。常に隙をみせず犯人に狙われないことが最も重要ですが、不幸にもこのたぐいの事案に遭遇してしまった場合でも、対応次第では被害を食い止めることができます。
  2. そもそも酔っぱらって歩くこと自体、当地では犯罪の被害に自ら向かって行くようなものです。飲酒に関する文化が日本とは全く違うことを理解することが重要です。
  3. 犯人がわざとぶつかってきた場合、安易に謝ることは得策とは言えません。簡単に謝ることで相手に優位な立場を与えてしまいます。更に犯人の前で財布の中身を見せることも論外です。万一の場合に備えてポケットに10ドル程度を財布とは別に入れておき、どうしてもお金を渡す場合は、それを使って被害を最小限に食い止めるという方法もあります。
  4. 事例では、犯人は詐欺師であり、場所も人通りの多い大通りですから、犯人を必要以上に刺激しない限り、公衆の面前で暴力を受ける可能性は低いといえますので、犯人に対して毅然とした態度で対応することが大切です。なお、今回は、詐欺師である犯人がわざとぶつかってきたことを想定していますので、自ら誤って他人にぶつかってしまった場合は、一般的な良識として、謝罪すべきものと思います。
  5. なお、このような事例は既に過去の手口と思われがちですが、いまだにコンスタントに発生しております。特に五番街等の大通りでの被害が多いようです。強盗等の凶悪犯や複数の犯人に抵抗することは危険ですが、単独の詐欺犯人のような場合は、相手の要求を明白に拒否した上、それ以上相手に関わらずその場から離れることをお勧めします。または、しつこいようであれば、警察へ行こうと言うことも効果が大きいと思います。しかしながら、いざと言うときにはパニックに陥ってしまうのが普通ですから、職場等で時間があれば、シミュレーションをやってみて、身体で覚えることをお勧めしたいと思います。
 事例2:
JFK空港に到着したばかりの日本人観光客が白タク被害に遭った事案を再現しました。
  1. このような被害に遭わないためにはどうしたらよいでしょう。頼みもしないのに向こうから一方的に近づいてくる者は、無視するのが大原則です。黙って無視、またはNo Thank you と言って立ち去るという簡単なことです。しかし、相手を無視する以前に重要なことは、ガイドブックを手にしてキョロキョロするなど、一見して観光客と分かるような行動をとることは自ら犯人を招いているようなものですので、気をつけて下さい。
  2. 車の停車している場所まで誘導されてしまった場合でも、手遅れではありません。その車がスーパーシャトルであるかいなか見極めることが重要です。犯罪に使用された車両は、黒や白のバンですが、本物のスーパーシャトルは町中で見かけるとおり、青色のバンに黄色の文字で大きくスーパーシャトルと描いてあります。もし車両がスーパーシャトルのものでなければ、即刻その場から立ち去り、被害を未然に防ぐことが可能です。
  3. 被害事案の中には、車内にきちんとした身なりのビジネスマン風の乗客が乗っていたため、つい安心して乗り込んでしまったというケースがありますが、もちろんこの乗客も犯人の一味ですし、犯人の一味に日本人が加わっていた例もありますので、相手が日本人であっても注意が必要です。
参加委員からの意見
(1)事例1のケースについては、個人的に2回ほど被害に遭ったことがあるが、2回目の時は、「今回このようなことは2回目である。詐欺だということは分かっているので、その手には乗らない」と言ったら、犯人はすぐに立ち去ったことがあった。
(2)マジソン通りを歩いていると白いバンに乗っている男達が、イタリア製スーツのバーゲンをしていると言って通行人に声をかえているのを見かけることがある。詐欺と思われるので、相手にしていないが、気をつけた方がいいと思う。
(3)以前に知人が、ワインボトルを壊したと脅かされ、ATMカードを強奪されたことがあり、警察に相談したことがあった。その後犯人が逮捕され、事なきを得たが、その際に警察からは同様の被害に遭った際は、とにかく警察を呼ぶように言われた。また、空き巣に入られたケースがあったが、その際にも個人で対処せずに警察を呼ぶように言われた。

メンタルヘルスについて

当館医務官より、睡眠障害対処12の指針について説明がありました。

  1. 睡眠時間は人それぞれで、日中の眠気で困らなければ十分です。睡眠の長い人、短い人、季節でも変化し、8時間睡眠にこだわる必要はありません。また、年をとると必要な睡眠時間は短くなります。
  2. 刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法を見つけましょう。就床前4時間のカフェイン摂取、就床前1時間の喫煙は避けるといいでしょう。軽い読書、音楽、ぬるめの入浴、香り、筋弛緩トレーニングは有効です。
  3. 眠たくなってから床に就き、就床時間にこだわりすぎないことです。眠ろうとする意気込みが頭をさえさせ寝つきを悪くすることがあります。
  4. 同じ時刻に毎日起床しましょう。早寝早起きでなく、早起きが早寝に通じます。例えば日曜日に遅くまで床で過ごすと、月曜日の朝がつらくなります。
  5. 光の利用でよい睡眠を心がけましょう。目が覚めたら日光を取り入れ、体内時計のスイッチをオンにしましょう。夜は明るすぎない照明を使いましょう。
  6. 規則正しい3度の食事、規則正しい運動習慣が大切です。朝食は心と体の目覚めに重要であり、夜食はごく軽く済ませましょう。また、運動習慣は熟眠を促進させます。
  7. 昼寝をするなら、午後3時前の20〜30分が有効と言われています。長い昼寝はかえってぼんやりのもととなります。夕方以降の昼寝は夜の睡眠に悪影響を及ぼします。
  8. 眠りが浅い時は、むしろ積極的に遅寝・早起きを心がけましょう。寝床で長く過ごし過ぎると熟眠感が減ることとなります。
  9. 睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のピクつき・ムズムズ感は要注意です。睡眠の病気が考えられる場合は、専門治療が必要となります。
  10. 十分眠っても日中の眠気が強い時は専門医に診察してもらいましょう。長時間眠っても日中の眠気で仕事・学業に支障がある場合は専門医に相談することが重要です。
  11. 睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもとです。睡眠薬代わりの寝酒は、深い睡眠を減らし、途中覚醒の原因となります。
  12. 睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安心です。一定時刻に服用し、就床アルコールと併用しないようにしましょう。

領事部からのお知らせ

当館領事部担当領事より下記のお知らせにつき説明がありました。

  1. 電子渡航認証システム(ESTA)について
  2. ニューヨーク安全マニュアルについて
   

 

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