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そもそも「KEDO」とは?

KEDOとは、日本語で「朝鮮半島エネルギー開発機構(The Korean Peninsula Energy Development Organization)」のことです。KEDOの主な設立目的は、北朝鮮の核兵器開発を封じることであり、具体的には、(1)北朝鮮が独自に開発した既存の黒鉛減速炉(核兵器の原料であるプルトニウムの生産が容易)の活動を凍結し、最終的には解体する代わりに、KEDOは軽水炉(核兵器の原料であるプルトニウムの生産には適さない)2基を建設、提供すること(2)その軽水炉第1基目の完成までの代替エネルギーとして年間重油50万トンを供給することです。現在、北朝鮮の東海岸地域にある琴湖(クムホ)という地域で初期建設と言われる土地の造成等を中心とした軽水炉型原子力発電所建設の準備工事が行われています。

KEDOはなぜ始まったの?

1992年に行われたIAEA査察の結果、いわゆる北朝鮮の核兵器疑惑が問題となりました。北朝鮮は、1993年3月、核不拡散条約(NPT)からの脱退を表明し、NPTへの完全復帰及びIAEA保障措置協定の遵守を拒みました。これに対して、1994年6月には、国連安保理において北朝鮮制裁決議につき非公式の協議が行われるに至り危機感が高まりましたが、米国と北朝鮮は、同月のカーター米元大統領の金日成主席との会談等を経て、同年10月、「合意された枠組み」(Agreed Framework)に署名。これにより、?@北朝鮮側は、NPT締約国にとどまる他、IAEA保障措置協定上の義務履行を通じた核開発の検証、既存及び開発中の核施設の凍結・解体等を行うこととなり、?A米側は、出力合計約2,000メガワットの軽水炉プロジェクト(出力約1,000メガワットの軽水炉2基)を北朝鮮へ供与し、また、第1基目の軽水炉完成までの間の代替エネルギーとして年間50万トンの重油を供与することとなりました。

この「合意された枠組み」を受けて、米国側の履行義務を果たすための機関として、95年3月、日韓米3か国は、「朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の設立に関する協定」に署名。北朝鮮における軽水炉プロジェクトの資金手当て及びその供与並びに暫定的な代替エネルギーの供与等を目的としたKEDOが正式に発足しました。

KEDOの仕組みは?

KEDOの意思決定は「理事会」で行われ、理事会は、原加盟国である日本、米国、韓国と97年9月に加盟したEUの代表(KEDO担当大使)各1名により構成されています。理事会は、その時の状況にもよりますが、現在のところ約1−2ヶ月に一度開催され、重要な意思決定を行います。このほか、9カ国(フィンランド、ニュージーランド、オーストラリア、カナダ、インドネシア、チリ、アルゼンティン、ポーランド、チェッコ)が一般メンバーとして参加しています。日常の業務は事務局で遂行されており、ニューヨークにある事務局本部では現在局長(米国人)、次長(日本人と韓国人1名ずつ)以下約40名が勤務しており、北朝鮮のクムホ(琴湖)にある現地事務所にはKEDO事務局より日米韓の職員が派遣されています。

KEDOに取り組む意義は?

北朝鮮の核兵器開発問題は、我が国を含めた北東アジアの平和と安定にとって重大な懸念であるとともにグローバルな核不拡散に関わる問題ですが、KEDOはこういった北朝鮮の核兵器開発を封ずるための最も現実的かつ効果的な枠組みとして、北東アジアの平和と安定に貢献しています。

また、KEDOは、韓国、日本、米国と朝鮮半島を含めたアジアの安全に関わりの深い国々が直接取り組んでいるフォーラムであり、設立以来、軽水炉建設、重油供与等を始めさまざまな分野において、これらの国々が北朝鮮との間で協議や意見交換を行なうフォーラムとして、KEDOは北東アジアにおける信頼醸成に役立っているという側面もあります。北朝鮮の建設工事現場においても、韓国と北朝鮮の労働者がともに作業を行っております。

軽水炉プロジェクトはどのように進行しているのか?

1995年12月、KEDOと北朝鮮の間で締結された軽水炉の「供給取極」においては、KEDOが北朝鮮に対し出力1,000メガワットの軽水炉2基を提供し、軽水炉完成後、北朝鮮は3年の据置期間を含む20年間で無利子返済を行うこととなっています。この供給取極の細目については、北朝鮮とKEDOの間でこれまでに6つの議定書(「特権免除等」、「輸送」、「通信」、「労働力」、「用地」、「債務不履行」)が締結されました。これを踏まえて、97年8月19日、北朝鮮咸鏡南道(ハムギョンナムド)琴湖(クムホ)地域の軽水炉建設用地において、土地の造成を中心とする初期建設工事の着工式が行われるに至りました。

この初期建設工事に引き続き、軽水炉本体の本格工事が開始されます。これは、KEDOと主契約者たる韓国電力公社(KEPCO)との間の契約書(「主契約」)は99年12月15日に署名され、2000年2月3日に発効しました。主契約は契約金額、プラント仕様、工事工程、工事の品質管理等を規定するほか、試運転、性能試験、北朝鮮側の運転要員の訓練なども含まれます。このようにして、軽水炉プロジェクト全体が進められていきます。

また工事が進展し、重要な原子力部品の引き渡し前に、北朝鮮はIAEAの保障措置協定の完全履行する義務を負っており、これを通じて核兵器開発疑惑が解消される仕組みになっています。

軽水炉プロジェクトの資金手当は?

1996年来、主契約者たる韓国電力公社より提示された経費見積を事務局が中心となって精査した結果、98年11月に開催された理事会において、経費見積りは46億ドルで合意され、原則として日本が「コミット時の10億ドル相当円」、韓国が「総経費の7割」、EUが加盟以降5年間に亘り合計7,500万EURO(約8,000から8,500万ドル。重油供給及び事務局経費にも使用可)を貢献するとの内容で決着を見ました。なお米国は重油に対する資金手当で手一杯であるとして具体的なコミット額は示しませんでした。

98年8月31日の北朝鮮によるミサイル発射を受け、日本は米韓と協議のうえ、KEDOの進行を当面見合わせることとし、具体的には経費負担に関する理事会決議への署名を見合わせましたが、同年10月21日、日本はKEDOへの協力を再開し、経費分担に関する理事会決議が承認された結果、日本は1,165億円(コミット時の10億ドル相当円)を貢献することとなりました。

経費負担問題の解決を受けて、日本はKEDOとの間の資金供与に関する協定の交渉を行い、同協定は99年5月3日に署名され、同年6月30日にその締結につき国会承認を得、本協定は同年7月15日に発効しました。これを受けて2000年1月31日国際協力銀行(JBIC)とKEDOとの間で貸付契約が調印されました。「供給取極」上、北朝鮮はKEDOに対して軽水炉プロジェクトの経費を無利子かつ20年間で返済(うち据置期間3年)することになっていることを踏まえ、我が国のKEDOへの資金拠出スキームは、日本輸出入銀行によるKEDOへの融資と政府によるKEDOへの利子補給の組み合わせとするものとなります。なお、韓国とKEDOとの協定は7月2日に署名、8月19日に発効し、韓国輸出入銀行とKEDOとの貸付契約は同年12月15日に調印されました。

重油供給の現状は?

第1基目の軽水炉が完成するまで、KEDOは「合意された枠組み」に基づいて毎年50万トンの重油を北朝鮮に供給する必要がありますが、これには年5〜7千万ドル程度を要します。そのための資金手当は米国が中心になって行っていますが、資金が慢性的に不足しているのが現状です。99年分については、98年10月に米議会で1999年度米国歳出法案が可決され、99年3月1日以降1,500万ドル、6月1日以降2,000万ドルの拠出が認められました。各拠出には、米国が北朝鮮の核問題やミサイル問題に効果的に対処していること等の条件が付されましたが、本年4月に1,500万ドル、6月に2,000万ドルが認められKEDOに拠出されました。

原子力発電所の安全体制はどうなっているの?

KEDOが北朝鮮に建設予定の韓国型の標準炉とは、米国から導入した軽水炉を韓国が改良発展させ設計標準化したもので、最新の技術を導入した極めて安全性の高い炉です。建設に先立つ安全評価の詳細なレビューは、同型炉の安全評価を韓国内で実施してきた韓国の原子力安全技術院(KINS)が担当します。

工事の施工、試運転、運転に関する品質管理全般は、KEDO事務局内の原子力安全・品質保証部が担当します。これとは独立にKEDO事務局長の諮問機関として、原子力安全に関する国際的な専門家(9ヶ国から1名ずつ)で構成する原子力安全諮問グループ(NSAG)が99年1月より設置されており(日本人の芳賀暢氏が副議長を務めている)、原子力安全に関するレビューを行い、KEDO事務局長に勧告する役目を担っています。

KEDOでの日本の役割は?

日本の貢献には、人的な貢献と資金面での貢献があります。まず、人的な貢献については、KEDO事務局には事務局次長をはじめ、9名の日本人職員が勤務しており、また、琴湖の現地事務所には日本人職員1名が代表として常駐しております。

また資金面では、上述の通り軽水炉建設のために1,165億円を拠出する他、これまでに現地調査費、事務局経費、KEDOが直面する流動性の危機に対応するために基金を設置するなどの拠出を行ってきました。

KEDOの関係年表

1995年
3月  日米韓によるKEDO設立(KEDO設立協定署名)
12月  KEDOと北朝鮮との供給取極署名
1996年
7月  特権免除に関する議定書署名
通信に関する議定書署名
輸送に関する議定書署名
1997年
1月  サイトに関する議定書署名
2月  サービスに関する議定書署名
6月  債務不履行に関する議定書署名
7月  KEDO琴湖(クムホ)事務所開設
8月  着工式(初期建設工事開始)
9月  EU(EURATOM)加盟
1998年
11月  軽水炉の経費負担理事会決議採択
 
1999年
 1月  原子力安全諮問委員会第一回会合
 5月  日本政府とKEDOとの資金供与に関する協定署名(7月発効)
 6月  韓国原子力安全技術院(KINS)との協力協定 
 7月  韓国政府とKEDOとの資金供与に関する協定署名(8月発効)
12月  主契約署名
韓国輸銀とKEDOとの貸付契約調印
2000年
 1月  JBICとKEDOとの貸付契約調印
 2月  主契約発効

関連サイト  KEDO事務局ホームページ www.kedo.org
朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)

 

 

 

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