テーマ:「ニューヨークでの子育て ニューヨークでママになる方、ママをされている方へのアドバイス」
日時:2007年3月11日(日)
講師:バーンズ静子(スクールカウンセラー:ニューヨーク教育相談室)
- パネラー:
- 本間俊一(医師:ジャムズネット代表)
ノーラ・コーリ(カウンセラー:ケア・ワールド主催)
竹本浩之(アップルキッズ代表)
羽田今日子(すくすく会代表)
関久美子(すくすく会)
横山陽子(ぷりまむ倶楽部)
講演会の概要
1.講演概要
ニューヨークと日本での子育てで一番違う点は言葉の問題であるが、親が心配に思うのは、自分の育った環境と違う事、困った時に相談する人がいない、という状況にある。バイリンガルになれるか、きちんと言語能力がつくのか心配している親が多い。いろいろな説が言われている。曰く、英語の習得は年齢が早い方が良い、一方、一つの言語を確立しておかないと次の言語は入らない、という考えを述べる人もいて、親は混乱してしまう。こうした説はそれぞれが本当であり嘘であると考えた方が良い。即ち、発音・会話のレベルでは6−8歳前に教えるのが良いが、一方で読み書きのレベルでは7−9歳、10ー12歳以後の習得の方が良いとの研究がある。こうしたいろいろな説は、何もしなければこんな事が起きるという話であり、親の努力次第で変える事が可能である。望ましくない状況にあれば、何が不足なのが欠落しているのかを考えて、補足・予防をしていかなければならない。アメリカ人はどうしているか? 日本にいたらどうしていたか? と常に考えて、子供に体験させる必要がある。そういう面で、日本人学校や補習校での日本行事への参加は意味が大きい。そして、何よりも親の観察力・応用力が求められる。子供には話しかけは必要であるが、子供が何かに集中している時は話しかけを控える事も必要である。何か間違った事をしてれば訂正をする事も必要だが、自立を育てるためにあわてて行動の訂正を行わない場合の方が良い事もある。困った時のみちしるべとして、
-
(1)ニューヨークでの生活の特殊性に気づき、補足する。
-
(2)どちらかを切るという事ではなくレパートリーを増やすという考え方。
- (3)しつけとは自己の衝動性のコントロールを身につける手助けである。
- (4)ニューヨークでの子育ては200%求められる事になるが、これをいかに効率よく100%内で行う方法を考える。
-
(5)他の人とのケースは参考として役立つが、自分の場合との違いにも気づく。
-
(6)子供の言葉を額面通りにとらず、全体像として子供をみる。
以上の視点が重要である。子育てには取り扱い説明書・マニュアルは無い。同じ親から生まれた兄弟でも、それぞれ異なる人格であり、同じマニュアルが有効である事はない。ものごとの是非を自分で検証し、判断する親になる必要がある。自分で判断する力を子供の中に養う。そして親がモデルを示す事が必要。Dale氏の学習ピラミッドによれば、知識の残存率としては、読む、聞くだけでは10%に満たない。オーディオ・ビジュアルで20%、実演を見ると30%、ディスカッションにより50%、やってみて練習で70%、指導する・実際の場面で利用する等をして初めて90%になると言われている。子供の教育でも、実践させる事が重要である。
2.パネラーによる各グループの紹介
-
(1)本間俊一教授よりジャムズネットの紹介が行われた。ジャムズネットは、ニューヨーク周辺の医療系邦人支援グループ同士の情報交換、相互連携を目的として2006年1月に発足された。ネットワークが米国、世界全体と繋がると良いと考えている。
-
(2)ノーラ・コーリ氏よりケア・ワールドの紹介が行われた。海外で出産、子育てをしている日本人のご家族に医療、生活、教育面での情報提供、ネットを通じたサポートを行っている。海外子育てに関する書籍も出版している。
-
(3)竹本浩之氏よりアップルキッズの紹介が行われた。アップルキッズはニューヨーク近辺で子育てをする家族で構成する大きなプレイグループである。親子での楽しい経験を通じて、共に成長する会を目指している。最近は、勉強会をよく行っている。
-
(4)羽田今日子氏よりすくすく会の紹介が行われた。すくすく会はニューヨーク地域に住む家族を対象に、異国での育児支援活動を起こっている。医学的、ソーシャルワーカーの専門的知識を使いながら、楽しい育児、健全な家族生活を目的としている。
-
(5)横山陽子氏よりぷりまむ倶楽部の紹介が行われた。ぷりまむ倶楽部はニュージャージー州を中心に、マンハッタン、ブルックリン、ウェストチェスターなどで妊娠、出産、育児をする方への情報交換の場を提供している。
3.質疑応答
聴衆からは、子供のアイデンティティーや、子供の言葉遣いに関する質問等が寄せられ、パネラーが回答した。
|