

西宮前大使からのメッセージ (ニュースレター Japan Info より)
From the Ambassador’s Desk 2010年12月号(12月14日発行。原文はこちら)
サンクスギビングが終わり、厳しい冬の到来です。皆様お元気ですか。今回は、先日ニューヨーク市博物館で大好評をいただいた遣米使節団ニューヨーク訪問150周年記念展示会が閉幕したことのご報告と人的交流の現状についてのご紹介をし、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
徳川幕府派遣による遣米使節団ニューヨーク訪問150周年を記念して、本年6月に開幕したニューヨーク市博物館の展示会が11月7日に閉幕しました。来訪者数は延べ8万1千人以上を数え、1日平均約630人が訪れた計算になります。展示会には、「日米修好通商条約批准書のレプリカ」や使節団が持ち帰った当時の「ネジ釘」等の日本から取り寄せた貴重な文物や当地ニューヨークに当時から伝わる珍しい写真等が展示され好評を博しました。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナル等の当地メディアもこの展示会や「トミー・ポルカ」再演を歴史の味わいを加えて大きく紹介してくれました。この展示会が行われていることを知った、ある小学校は、をテーマにセントラル・パークで開催された「かかしコンテスト」にトミー(立石斧次郎)に見立てたかかしを出展し、見事優勝しました。使節団のニューヨーク到着日の6月16日には、エンパイア・ステート・ビルが日本国旗の「白赤白」にライトアップし、使節団の訪問と日・ニューヨークの市民の交流と友情をお祝いしてくれました。日本とニューヨークひいては米国との友好関係を更に促進するために貢献してくれたこの展示会への皆様のご支援とご声援に心から感謝致します。
さて、11月に行われた菅総理とオバマ大統領の日米首脳会談で、両首脳は日米同盟を ?@安全保障、?A経済、?B文化・知的・人的の交流の三本柱で深化させていくことで合意しました。日米関係の将来にとって文化・知的・人的交流の重要性が確認されたことは大変重要な意義があると考えています。この点に関しては実は気になる現実を直視しなくてはなりません。今般米国の国際教育機構(Institute of International Education)が発表した留学生統計によれば、米国への日本人留学生数は昨年より約15%減少し現在第6位の約2万5千人になっています。この数字は1997年のピーク時から比べ半減しており要注意だと思います。米国からの日本への留学生数は一昨年から昨年にかけて5,710人→5,784人へと微増しており、米国人にとって日本は第11番目の留学先となっています。しかし、日本からの留学生者数は米国だけが大きく減少しています。この背景には日本経済が不振でかつて奨学金を提供していた我が国の機関等が支援を縮小したこと等を含め、いろいろな事情が挙げられると推測しますが、いずれにせよ、日米両国の交流が減少していることは心配です。日本人留学生増加に向け何ができるかは引き続き検討していかなければならないと思います。
最後になりましたが、私は来年1月にニューヨークを離れ東京に戻ることになりました。この2年弱皆様には大変お世話になりました。日米友好協力の基盤を皆様のお力を得て強固なものとし、在留邦人・企業の方々の安心が確保されるよう日々努めて参りましたが、後任に対しても同じ心持ちで臨むようにしたいと存じます。どうか、2011年も総領事館をよろしくお願い申し上げます。
From the Ambassador’s Desk 2010年9月号(9月22日発行。原文はこちら)
暑さが和らぎ朝夕涼しい過ごしやすい気候になりました。秋の気配が感じられます。皆様お元気ですか。今回は我が国の交流事業に参加した米国の若者達が日本に対し抱いている熱い思いに触れる機会がありましたのでこれをご紹介したいと思います。
我が国は、1987年から外国語教育の指導助手等として外国人をJETプログラム(Japan Exchange and Teaching Program)を通じて日本の小中高校受け入れています。このプログラムを通じ過去24年間に約25,000人の米国の若者が渡日しており、元参加者は帰国後も知日派・親日派として各方面で活躍してくれています。
彼らは、8月にニューヨークでJET同窓会(JETAA)全米総会を開催した際、JETプログラムの重要性と有効性について話し合い、このプログラムの大切さを訴えるため、「JETプログラム及びJET同窓会は将来の日米関係にとって必要不可欠」と題する声明を発出しました。そこには、「JETプログラムとJET同窓会は日本の国際化と日米間の相互理解を深化させるにあたって死活的に重要である。日米間の架け橋を今後も引き続き構築していくためには同プログラム及び同窓会が必要であり、両者の価値が再認識されることを期待する。」とあります。
このJETAA全米総会で多くの元JET参加者とお話しした際には、元JET参加者の皆さんが口々にJETプログラムへの参加及び同窓会活動を通じて如何に日本が好きになったか、どれほど日本のことが大好きであるかについて熱心にお話してくださり、私は胸が熱くなりました。彼らからは、「JETプログラムは日米草の根交流の基礎であり、同窓会組織は日々米国人の対日理解の促進のために活動している。」として、この「米国における最大の親日派組織の源」を大切にしてほしいとの声が聞かれました。私は、これからもJETプログラムやJETAAの皆さんとの関係を大切にしつつJETプログラムの円滑な運用に貢献していきたいと思います。
From the Ambassador’s Desk 2010年7月号(7月9日発行。原文はこちら)
記録的な猛暑となりました。まずは暑中御見舞い申し上げます。この夏のサムライがやってきました。日本人コミュニティーとニューヨーカーが一緒になって日本人遣米使節団ニューヨーク訪問150周年をふり返り、日米交流の歴史をかみしめる夏となりました。
皮切りは、6月6日に開催された「ジャパンデイ@セントラルパーク」です。ジャパンデイの開催は今年で4回目となりますが、マンハッタンの中心で行われる恒例の日本・ニューヨーク間の友好と文化交流の場として定着し、益々盛り上がってきています。当日朝のジャパンラン・マラソンには約5000人が参加し、会場のイースト・メドーには5万人以上の方々が詰め掛けました。ステージではサックス奏者の渡辺貞夫氏をはじめとする有名なアーティストが様々なパフォーマンスを披露しました。中でもハイライトは、かつてブロードウェーで繰り広げられた使節団によるパレードを再現した「サムライ・パレード」でした。私も使節団正使の侍姿でパレードに参加しました。
また、150年前に遣米使節団がニューヨークに到着した記念日である6月16日には、公邸で記者会見を行い、その後記念レセプションを開催しました。そこでは、高原守氏の指揮によりニューヨーク・シンフォニック・アンサンブルが、当時の使節団員の中で人気を博した立石斧次郎を讃えて作曲された「トミーポルカ」を再現して下さり、150年前の当時の音色は参加者の感慨を誘いました。なんとニューヨーク・タイムズ(6月18日)が、その模様を報じてくれました。その夜はエンパイア・ステートビルが日の丸カラーの赤と白にライトアップされ、この歴史的な記念日にお祝いの彩りを添えてくれました。
もう一つの目玉事業である「サムライ・イン・ニューヨーク」展示会が、ニューヨーク市博物館で6月25日に開幕したことをご紹介します。この展示会は11月7日まで行われますが、併せて演奏会や講演等の各種パブリック・プログラムも開催されます。6月24日に開幕前夜祭が行われましたが、光栄にも遣米使節団員に関係の深い方々にもお会いすることが出来ました。副使・村垣範正氏の子孫の大久保真理さん、日記を綴った使節団員・加藤素毛氏の子孫の加藤宗和さん、展示会に貴重な当時の写真を提供してくださったトム・ブルネットさんがお越しくださいました。展示会では遣米使節団に纏わる150年前の日米の文物が史上初めて再集結されています。展示物の中には当時の写真、日記や雑誌の現物、更には使節団員が当時一行に同行してくれたデュポン海軍提督に謹呈した日本刀も見受けられ、目を見張るものがありますし、150年ぶりの家族の再会のようなうれしい気分にもなります。日・ニューヨーク友好関係の起源を振り返り・探求する良い機会ですので、是非展示会にお出掛けください。
From the Ambassador’s Desk 2010年5月号(5月18日発行。原文はこちら)
「遣米使節団ニューヨーク訪問150周年記念展」の開催(6月25日−10月11日、於:市博物館)と、ジャパンデー(6月6日)での「サムライ・パレード」の実施が相次いで発表され、本年の「万延元年遣米使節団ニューヨーク訪問150周年」の準備が佳境に入ってきました。
4月23日には遣米使節団150周年関連行事の皮切りとしてコロンビア大学東アジア研究所で講演会が行われ、私は講師として最近の日米関係についてお話をして参りました。講演では、遣米使節団ニューヨーク訪問150周年の意義にも触れつつ、戦後の日米経済関係の変遷、冷戦後の日米安全保障協力の変化について私の思いを述べ、これまで日米両国がどのように貿易摩擦等の課題を乗り越え現在の強固な関係を構築したかを振り返り、今後も良好な日米関係に変化がないことを強調しました。その中では、在ニューヨーク日本総領事館が人物交流に関連したスキーム等を通じていつも行っている日米友好関係促進に向けた努力についても説明をさせて頂きました。
1860年(万延元年)に徳川幕府が日米修好通商条約の批准書交換のため派遣したサムライ約80名からなる遣米使節団の当地訪問は、日本とニューヨーク間の、更には日米間交流の草分けであり、150周年となる本年は、この記念すべき歴史的事実を振り返り、日米友好関係の更なる発展に思いを馳せる絶好の機会です。皆様も御一緒にお祝いいただけますようお願い申し上げます。当館ホームページを御覧いただき、是非関連行事にお出かけください。6月6日には私も当時の遣米使節団の正使の新見豊前守正興(しんみぶぜんのかみまさおき)に扮してジャパンデーの「サムライ・パレード」に参加いたします。当日皆様にお会いできるのを楽しみにいたしております。
From the Ambassador’s Desk 2010年3月号(4月9日発行。原文はこちら)
桜の花が咲き、希望に満ちた暖かい春の訪れを感じます。皆様はいかがお過ごしですか。3月は、特に3つの行事が強い印象に残りました。
まずジャパン・ソサエティの「歌川国芳・浮世絵展」です。3月11日のオープニング・プレビューに出席しましたが、この展覧会は大英博物館のアーサー・ミラー・コレクション作品を借用したもので、奇遇なことに監修者は私の英国勤務時代からの旧友であるティモシー・クラーク大英博物館日本部長でした。歌川国芳の主要作品を網羅的に見せる展覧会の米国での開催は30年ぶりだそうで、米国で人気の日本漫画・アニメの原型と言われる浮世絵をこの様な形で鑑賞できることには感慨深いものがありました。
次は、3月15日のジャパン・ソサエティでのAPEC関連の講演会です。講師は、2010年に日本で開催されるAPECの高級実務者会合で議長をつとめる中村滋大使(国際貿易・経済担当)で、中村大使は、このAPECの重要議題である地域経済統合、均衡の取れた持続可能な経済成長を促進するための戦略、自然災害・テロ・食糧安全保障・伝染病を含む様々な脅威から身を守るための人間の安全保障の重要性などのテーマに触れつつ、本年のAPECでの議論の行方につき分かりやすく有益な話をされました。
3月16日には、公邸で「日系人コミュニティー支援レセプション」を主催しました。目的は、日系人社会と当地在留邦人を多方面に結ぶネットワーク作りで、米日理事会、日系米国人市民協会などの日系人団体の代表者を含め経済、文化、学術、法曹等の分野で活躍する約80名が和気藹々と賑やかに親交を深める会となりました。普段多忙のため集うことの難しい多くの日系人団体が一同に会するこのような機会が貴重かつ有益との声を出席者からお聞きし、我が意を得たりと思った次第です。
もう一つ嬉しい話をご披露すると、今般コネチカット大学スタムフォード校の女子バスケットボールのチームが全米大学リーグでスタンフォード大学チームを破り優勝しました。同チームの強豪ぶりは、3月4日の同校での講演の際にエゴ副学長から伺い、その後ずっと注目していたので嬉しい限りです。昨年のMBLのワールドシリーズでは、いずれも当館が管轄するニューヨークとフィラデルフィアが優勝を争っていたので、嬉しさの表明も遠慮がちにならざるを得ませんでしたが、今回は誰に遠慮することもなくお祝いできます。おめでとうございます。
4月は、春をお祝いする桜祭りが各地で開催されます。Event Calendarの中で特集しておりますので、是非お出かけください。
From the Ambassador’s Desk 2010年2月号(3月9日発行。原文はこちら)
風は相変わらず冷たいものの、日差しに春を感じることが多くなってきたような気がします。皆様はいかがお過ごしですか。
チリでの大地震の報に接し、我が国は、早速300万ドルを上限とする緊急無償資金協力、3,000万円を目処とする緊急援助物資の供与を行うことを決定しました。同じ地震国、APECメンバー国として他人事では到底あり得ません。その一方で依然ハイチ地震の被災者の方々も厳しい生活を強いられています。我が国は、約530人規模の自衛隊を送って復旧支援を懸命に行っています。わが総領事館からもハイチに応援者を派遣いたしました。当地ニューヨーク日本商工会議所も米国赤十字及び国境なき医師団に対し合計で2万ドルのハイチ支援の寄付を行われたとお聞きし大いに励まされました。ハイチそして、チリの方々が一日も早く立ち直られ穏やかな生活が送れるようお祈りします。
さて、新年になってから東海岸にたくさんの雪が降り、総領事館のあるマンハッタンをはじめとしてニューヨーク一面が冬景色に包まれました。大都会での降雪は街を幻想的な別世界に変えてくれます。学校は休校になり飛行機も軒並みキャンセルになりましたが、都心マンハッタンではたくさんの降雪にもかかわらずバス・鉄道等の公共交通機関が機能しており、思ったよりも雪に強いニューヨークを垣間見ることができ頼もしく感じました。お陰様で、当館も降雪による影響もなく通常通り業務を続けることができました。
2月19日には、国連で桂小春團治氏による4ヶ国語落語が行われましたが、外国の方々が日本の古典芸能を楽しんでくださったのを嬉しく拝見しました。昨今のIT技術の発達により瞬時にインターネットを通じて情報が得られる時代に、会場一杯の観客が落語を楽しんでいる姿を拝見して、生のコミュニケーションの力はすごいと感じたイベントでした。私の近くにいらしたお子さんがお父さんに「今のどういう意味」と尋ねておられるのを聞き、落語が親子の会話を通じたご家庭での教育にも役立っているなと感心させられました。
来月には、各地で桜祭りが開かれます。暖かく希望に満ちた本格的な春の訪れを心待ちにしながら元気に過ごして参りたいと思います。
From the Ambassador’s Desk 2010年1月号(1月28日発行。原文はこちら)
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
皆様良い新年をお迎えになられたと思います。私はニューヨークでの年明けは初めてですが、皆様に負けないよう、新たな気持ちで積極的に頑張ってまいりたいと存じます。
今年は日米安保改定50周年にあたるとともに、今日の良好な日米交流の草分けとなった1860年の徳川幕府による遣米使節団派遣から150周年でもあります。総領事館としては、この事実をあらためて思い起こしていただけるよう、関係者の方々と協力して各種行事を準備中です。皆様の暖かいご支援をお願い申し上げます。
少しさかのぼりますが、私は、昨年12月に公邸で補習授業校の卒業生を招いて、彼らのネットワーク作りをお手伝いすることを目的としたレセプションを開催しました。その際、卒業生の中には、日系米国人や引き続き当地に滞在する日本人の子弟も多く、彼らが米国社会の一員となりつつも、日本との絆を継続・継承し、日本と米国の架け橋となっていることを改めて感じ、強い印象を受けました。日本のことを良く知っている又は日本のことが大好きな人々の存在は、日米間の架け橋として非常に重要であり、これら知日派・親日派の方々と協働することは総領事館の重要な責務です。
当館としては、潜在的な知日派・親日派をも発掘することで引き続き、日米間の更なる友好関係の促進を支えるネットワーク構築へのお手伝いを更に進めて参りたいと存じます。
From the Ambassador’s Desk 2009年12月号(12月24日発行。原文はこちら)
皆様お元気ですか。本年3月に着任して以来9ヶ月が過ぎ、あっという間に年末になりました。これまでの当地での仕事や生活が走馬灯のように思い出されます。
着任以来、私は、地域の皆様との関係が「双方向」であるべきと考え、皆様と双方向の関係を築くために、積極的にできるだけ多くの方々とお会いし、御意見を伺って参りました。当館管轄区域の訪問も積極的に行うよう心掛け、ニューヨーク州の他にニュージャージー州、ペンシルバニア州、ウエスト・バージニア州を訪問し、各地の事情をよりつぶさに知ることが出来ました。皆様の御協力に感謝致します。
今年は、先月の松井秀喜選手に対する在外公館長表彰を含め本当に様々な出来事がありましたが、やはり9月の鳩山総理の当地訪問は強く印象に残っています。訪問中には初の鳩山・オバマ首脳会談が行われ、鳩山総理から日本外交にとって日米同盟が最も重要な礎であるという指摘がなされ、両首脳が、日米同盟をさらに深化・発展させていくことを改めて確認しましたが、このことは、良好な日米関係を維持・発展させていく上で非常に重要な成果であったと思います。また訪問中には鳩山総理がジャパン・ソサエティを訪れ、当地の有力者の方々と直接言葉を交わす機会があったことも忘れられません。
さて、来年2010年は、日米修好通商条約批准書を携えた遣米使節団がニューヨークをはじめ米国各地を訪問してから丁度150周年という重要な年にあたります。当館としても、この歴史的出来事を皆様に広く知って頂き、日米友好の長い歴史に思いを馳せて頂きたいと思っており、この記念すべき年をお祝いすべく検討を進めているところです。
皆様、本年は大変お世話になりました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。よいお年をお迎えください。
From the Ambassador’s Desk 2009年11月号(12月1日発行。原文はこちら)
© Cabinet Public Relations Office
本年も終盤となりめっきり寒くなって参りましたが、感謝祭の休暇は如何お過ごしになりましたか。きっと素晴らしい時間を過ごされたことと存じます。
11月は行事が目白押しでした。日本では天皇陛下御在位二十年をお祝いする行事があり、同じ頃にオバマ大統領がご自身初めてとなるアジア諸国歴訪の最初の国として日本を訪問しました。ニューヨークでは、大リーグの松井秀喜選手がワールド・シリーズで大活躍し、MVPを獲得しました。4年間にわたる大リーグでの活躍と日米友好への貢献を讃えるため、松井選手に在外公館長表彰を行いました。また、本年7月に外務大臣表彰を受けられたニューヨーク・シンフォニック・アンサンブル指揮者の高原守氏への同表彰の伝達式を開催しました。
オバマ大統領の訪日の際の日米首脳会談では、鳩山総理とオバマ大統領が日米同盟の重要性を確認し、アジア太平洋地域やグローバルな課題における日米協力を強化し、安全保障を含む様々な分野における日米関係をさらに建設的で未来志向のものに深化させていくべきとの認識で一致しました。ここで確認された方向性で日米関係は今後も着実に発展していくでしょう。また、オバマ大統領は訪日中に米国のアジア政策に関する演説を行いましたが、日米関係の発展は、オバマ政権のアジア政策においても重要な位置を占めていくと確信します。ここNYでそのような両国関係の発展を支える仕事ができることは大きな喜びです。
(http://www.mofa.go.jp/region/n-america/us/pv0911/index.html)
松井選手の表彰では、同選手と直接話を致しましたが、名声や人気があっても、常に控えめで礼儀正しく周りの人々と接する同選手の紳士的な振る舞いや発言は日本の価値観を体現する「サムライ」を思わせるもので、私は強い感銘を受けました。日米友好の架け橋として同選手がさらに活躍することを祈念します。高原氏からは、芸術家に固有の羨みたくなるような才気を感じました。表彰式でのスピーチの際に高原氏は表彰式の参加者を3グループに分け、その3グループの間の拍手のやりとりのみで紡ぐカノン(輪唱)を演出されました。芸術に国境なしと言いますが、まさにこういう方の存在が日米両国の相互理解の増進にとって大きな力になるということを実感した次第です。
12月には、皆様各々嬉しいこと・悲しいこと、この一年間の思い出を振り返られることと存じます。寒さは増しますがどうぞご自愛ください。
From the Ambassador’s Desk 2009年10月号(10月30日発行。原文はこちら)
10月13日にフィラデルフィア日米協会のお招きでフィラデルフィア市内の由緒あるクラブでの昼食会で政権交代後の日米関係に関する講演を行う機会を得ました。ナッター市長も会場に駆けつけて歓迎の言葉をかけてくれました。
講演でも述べましたが、先般9月の鳩山総理の訪米結果を見ても明らかな様に、日米両国のパートナーシップは日本外交の要であり日米両国の一層の発展にとって今後とも中心的な意味を持ち続けます。11月のオバマ大統領の訪日も、この両国関係を一層強化していく上での重要な一歩になるでしょう。フィラデルフィアを訪れて改めて感じたのは、この良好な両国関係の基礎になっているのが、草の根レベルでの緊密な交流であるということです。
お昼の講演では、多くの人々から様々な質問をお受けし、当地の人々の我が国への関心の深さを改めて感じました。午後には、初秋の美しい松風荘でのお茶会に参加し、その維持・管理にたゆまぬ注意を払っておられる関係者の方々の真剣な思いに心を動かされました。夜には日本語補習校がフィラデルフィアの学校の校舎を用いるようになってから20周年という長い友情を祝うディナーに参加し、教育という重要な分野で国際交流が着実に進んでいることを実感し、ここで学ぶ生徒たちが少し羨ましくなりました。この訪問で私は今後とも管轄地域の各所でこういう草の根交流の着実な発展に力を注ごうと決意を新たにした次第です。
ニューヨークのメトロポリタン美術館で「Art of Samurai」が始まり、私も早速見てきました。国宝、重要文化財が海外でこれだけこれだけの規模で展示されるのは初めてと聞いていますが、日米間の相互理解にとっても極めて有益な行事となるでしょう。私もできるだけ足を運びたいと考えています。
From the Ambassador’s Desk 2009年9月号(10月5日発行。原文はこちら)
©Ken Levinson
この9月は大きな変化と多忙の月となりました。
日本では、8月30日の衆議院選挙の結果政権が交代し、9月16日に鳩山由紀夫民主党代表が国会で総理大臣に選出され、同日新しい内閣が誕生しました。岡田克也新外務大臣もこの日に就任しました。
鳩山由紀夫総理は、日本の名門政治家の家に生まれた政治家で現在62歳です。鳩山総理は就任直後に米国を訪問し、ニューヨークでの国連関係の会議やピッツバーグでのG20に出席して「鳩山外交」をスタートしました。総領事館はこの重要な訪問の成功に向けて全力で準備をしました。
鳩山総理は、首脳外交のデビューを飾る舞台がここ米国となったことに恐らく特別の感慨を抱かれていたと思います。政界入りする前にスタンフォード大学の博士課程を修了した鳩山総理にとって米国というのは近しい国です。鳩山総理は9月23日にジャパン・ソサエティーで開催された昼食会に出席し、米国財界の関係者の皆様らと懇談しましたが、これに同席して総理の笑顔を間近に見た私はそういう印象を得ました。
9月23日の朝には鳩山総理とオバマ大統領の初の首脳会談が行われました。そこで鳩山総理は、日米関係が依然として日本外交の基軸であるとの思いを強調されました。私は、今回の首脳会談で築かれた両首脳の信頼関係に基づき、両国関係が今後一層強化されていくことを確信しています。
最後になりましたが、9月は9.11を迎える月でもあります。9.11同時多発テロでは24名の日本人も犠牲になりました。この日を迎えると、私の心の中では各地でテロの犠牲になられた方々への思いがいつも蘇ります。テロという恐ろしい犯罪の企図や実行を許さないために国境を越えて協力するという思いは文明の中に生きる全ての人々の決意であり、私も改めてこの思いを共有します。
From the Ambassador’s Desk 2009年8月号(8月27日発行。原文はこちら)
©Gateway Clipper, VisitPittsburgh
米国の習慣にならって、この時期に休暇をとられた方も多いかと思います。私も3月末に赴任して以来初めて休暇をとり、グランド・キャニオンを中心に西海岸を訪れました。9月からの多忙な時期を前に、大自然を満喫し十分に英気を養うことができました。
来月、当館管轄地域では、国連総会のほか、日本が環境先進国としてこれまで積極的に取り組んできた気候変動問題に関連する国連におけるハイレベル会合や、ワシントン、ロンドン両サミットからの進捗状況を評価し更なるアクションについて検討するG20ピッツバーグ・サミットなど、多くの重要な外交案件が予定されています。これらの会議の開催まであと数週間を残すのみとなり、準備にかかわる関係者にも緊張感が漂ってきました。日本ではまもなく総選挙が行われますが、いずれにしましても日本として国際社会と協調して地球規模の課題の解決に貢献していく姿勢に変わりはありませんし、当館及び外務省としましてもこれらの会議が大きな成果を収めるよう全力で取り組んで参ります。
ところで、上述のG20サミットは、ご承知の通りピッツバーグで開催される予定ですが、古くは米国屈指の鉄鋼都市として発展し、バランスのとれた経済回復を遂げ環境技術を活用した都市再生のモデルとなったピッツバーグは、経済危機への対応について話し合うこの会議の開催にふさわしい土地であると考えます。関連施設の視察、レイブンストール・ピッツバーグ市長表敬等のため、私も近々ピッツバーグを訪問する予定です。有意義な出張にしたいと思っています。
From the Ambassador’s Desk 2009年7月号(7月29日発行。原文はこちら)
今月号の文化欄では、来年2010年に150周年を迎える徳川幕府による遣米使節団の派遣について特集しましたが、初期の日米外交史にまつわる話題をもうひとつご紹介したいと思います。ロードアイランド州ニューポートで開催された第26回黒船祭りに参加するため訪米した増田清下田市議会議長率いる下田市の代表団が、過日ニューヨークに立ち寄られ、私も公邸で一行の皆さんとお話しする機会を持つことができました。
下田市は、米国のペリー提督の黒船来航後の1854年に開港された静岡県の伊豆半島南端にある港町で、米国ともゆかりの深い都市です。ペリー提督の生誕地ニューポート市と下田市との交流はこの史実にもとづき始まり、以来地道な活動が続いています。そして、初代駐日総領事タウンゼント・ハリスはここ下田の地に総領事館を開設し、以降下田市は日米外交の重要な舞台となりました。ハリス総領事については当地ではフリーアカデミー(現ニューヨーク市立大学シティカレッジ)の創設者としてご存知の方も多いかもしれません。遣米使節団150周年という節目の年に、今一度歴史を振り返り、日米関係の礎を築いた先人達の活躍に思いを馳せることも大切ではとの思いを強くしました。
さて、世界に目を転じますと、今月はイタリアのラクイラでサミット(主要国首脳会議)が開催され、日本から麻生総理が出席しました。世界経済、気候変動、核軍縮、北朝鮮など様々な分野にわたり議論が行われ、多くの成果がありました。日本が従来から提唱していた、世界的な経常収支の不均衡、いわゆる「グローバル・インバランス」の是正や、開発・アフリカに関して責任ある国際的農業投資を促進するための指針作りの必要性などが首脳宣言に盛り込まれたのは大きな成果です。また、G8諸国と中国、インド、ブラジル等の新興経済国との間で初めて共同宣言が出されたことも注目されます。さらに、気候変動について、日本は2020年までに2005年比15%削減という中期目標を実現するため、低炭素革命を成し遂げていくと表明するなど、日本として強い決意を世界に示したことも意義深いことだと思います。
From the Ambassador’s Desk 2009年6月号(6月25日発行。原文はこちら)
5月31日のジャパン・デー@セントラルパーク2009は、過去最高の4万5000人の方々にご来場頂き、大盛況のうちに終わりました。ご協力頂いた皆様に心より感謝申し上げます。私自身は今回が始めての参加となりますが、これだけ大勢の方々が、ジャパン・デーの趣旨に共感して下さったことに大変感銘を受けました。当日セントラルパークへお越し下さった皆様、ボランティアの皆様、ご寄付下さった皆様、ニューヨーク市当局関係者、ご尽力頂いたすべての関係者の方々に、心よりお礼申し上げます。また、当日は、ニューヨーク市議会において唯一のアジア系米国人議員であるジョン・リュー市議に、ゲーリー・モリワキ日系人会会長とともにご来場頂き、ステージの上からご挨拶の言葉を頂きました。このように、ジャパン・デーのイベントを通じてアジア系コミュニティーの連携を深めることができたことも、大変意義深いことだと感じています。来年以降も、私達日本人からニューヨークへの感謝の気持ちを伝え、また、日米両国市民が草の根レベルでお互いを理解しあう機会として、ジャパン・デーのイベントがニューヨークの恒例行事として定着していくことを希望しています。
さて、6月2日から4日にかけてウエスト・バージニア州を訪れ、マンチン州知事を表敬訪問したほか、政府やビジネス界のリーダーらと懇談しました。「山岳州」と愛称されるウエスト・バージニア州と日本は、あまり共通点がないように思われるかもしれませんが、同州には石炭の長い歴史があり、エネルギーや環境に対する人々の関心が高いという点など、文化的な面で日本との共通点を見つけることもできました。また、同州にはすでに多くの日本企業が進出していますが、総領事館としましても、今後とも様々な形で企業への支援を行い、日本とウエスト・バージニア州とのさらなる関係強化に努力していく所存です。
From the Ambassador’s Desk 2009年5月号(5月29日発行。原文はこちら)
5月6日、7日にマサチューセッツ州フェアヘブンを訪れました。
フェアヘブンは海辺の小さな街ですが、日米友好の架け橋として大きな役割を果たした ジョン万次郎(中浜万次郎)とその恩人、ホイットフィールド船長を今も誇りにしています。1841年に出漁中に太平洋で遭難したジョン万次郎は、ホイットフィールド船長に救助されました。このたび、日米友好の証として、ホイットフィールド船長が住み、万次郎も1843年5月7日から約3年間滞在した家屋が、160年以上もの時を経て記念館として開館しました。皆様も是非一度、フェアヘブンを訪れ、幕末から明治にかけての日米関係の黎明期に活躍した先人に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
記念館開設に向けた取り組みの発起人代表を務める日野原重明氏は、97歳の今も現役の医師として活躍しておられ、執筆や講演活動を通じ多くの日本人に勇気を与えています。開館式の後、同氏はニューヨークにも立ち寄られ、ジョン万次郎の生き方に触れながら、前向きに生きていく秘訣について語られました。日野原氏のご活躍ぶりに私も元気をもらいました。
日本ほどではありませんが、当地の日本人・日系人社会においても高齢者は多く、総領事館としましても、毎年9月に行われるシニア・ウィークや4月末に開催されたサクラ・ヘルス・フェア(日系人会・JAMSネット共催)への協力をはじめとして、在留邦人の健康をサポートするためのさまざまな活動を行っています。当館管轄地域にお住まいの高齢者の方々が、明るく健やかに毎日を過ごせるよう、今後も積極的に取り組んでまいります。
新型インフルエンザは、米国を含む世界各地で感染が拡大しています。総領事館と致しましては、ホームページ等を通じて、在留邦人の皆様に適時に情報を提供させて頂いております。皆様方におかれましても、引き続き報道や当局の発表にご注意頂くとともに、十分な予防措置をとって頂くようお願い致します。
さて、いよいよジャパン・デー@セントラルパーク2009の日が近づいてきましたね。5月31日(日)はセントラルパークでお会いしましょう。
From the Ambassador’s Desk 2009年4月号(4月29日発行。原文はこちら)
皆様はじめまして。Japan Infoのヘッドラインに記した通り、3月30日に総領事・大使として着任致しました。Japan Infoを通じてメッセージをお届けするのは今月が第1回目となります。このコーナーを通して、日頃私が考えていることを、皆様に率直にお伝えしていきたいと思っています。当館と地域の皆様との関係は、何より「双方向」であるべきと私は考えております。当館へのご要望など、どうぞ当館(japaninfo@ny.mofa.go.jp)へお寄せください。
着任以来、各方面の方々に表敬訪問をするなど慌しい日々を過ごしております。着任早々、4月5日、6日には、桜祭りで大変な盛り上がりを見せるフィラデルフィアへ出張して参りました。フィラデルフィア桜祭りで存分に桜を堪能したのはもちろん、JETプログラム参加経験者、日本語教育関係者、そしてマイケル・ナッター市長等とお会いすることができました。皆様と双方向の関係を築くために、これからも、私自身から積極的に出かけてできるだけ多くの方々とお会いし、直にお話したいと考えています。
さて、今月号ではジャパン・デー@セントラルパークについて特集しましたが、昨27日の記者会見でもお伝えしたとおり、ジャパン・デーの準備は着々と進んでいます。このイベントは、当地在住の日本人からニューヨークの人々へ感謝の気持ちを伝える、年に一度の大切な機会です。是非多くの方々に参加して頂きたいと思っております。このホームページでもまた情報をお伝えしていきます。皆様のご意見・ご要望もお待ちしていますので、当館またはジャパン・デー事務局(info@japandaynyc.org)までどしどしお寄せください。